共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

がん微小環境亢進シグナルの攻略に寄与する高活性天然物の探索と機能解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H03992
体系的課題番号
JP17H03992
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
18,200,000円
(直接経費)
14,000,000円
(間接経費)
4,200,000円

本研究では,がん幹細胞の生存と適度な分裂を支える「がん微小環境」を標的とし,がん微小環境で亢進するシグナル分子をターゲットとして,その機能を抑制し正常化を促進する高活性低分子化合物を天然物から探索し,その機能を解明することを目的としており,そのような標的シグナルとして,幹細胞の自己複製に関わるウィント(Wnt),ヘッジホッグ(Hh),およびトレイル(TRAIL)シグナル等を対象としたスクリーニングを行った.
1)Wntシグナル阻害作用をもつ天然物のスクリーニングの結果,ヒマシ粕(Ricinus communis)からWntシグナル阻害作用をもつリグナン型化合物とフラボノイド配糖体を1種ずつ単離した.一方,センダン科植物成分として知られるロカグラミド誘導体についての合成研究を行い,ヘテロ環を含む一連の誘導体の中から,顕著なWntシグナル阻害作用を示す化合物を見出した.
2)ショウガ科Boesenbergia pandurataの根茎からTRAIL耐性克服作用を示す3種の新規イソピマラン型ジテルペン(boesenberol I, J, K)と2種の既知ジテルペンを単離し,各種スペクトルデータの解析に基づきそれらの構造を決定した.これらの5つの化合物はヒト胃がんAGS細胞に対して顕著なTRAIL耐性克服作用を示した.
3)エピジェネティック遺伝子転写を制御するポリコーム構成分子の一つであるBMI1のプロモーター阻害作用に関するスクリーニングを行い,キョウチクトウ科植物Beaumontia murtoniiから活性成分としてカルデノリド配糖体を単離した.本化合物はヒト結腸腺がん細胞HCT116に対する細胞毒性を示し,BMI1タンパク質を減少させた他,ヒト肝がん細胞Huh7のスフェア形成を抑制し,がん幹細胞性を減少させることが判明した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H03992
ID情報
  • 課題番号 : 17H03992
  • 体系的課題番号 : JP17H03992