2014年5月
忘れてはいけない熱帯感染症・輸入感染症 狂犬病
感染症
- ,
- 巻
- 44
- 号
- 3
- 開始ページ
- 113,109
- 終了ページ
- 119,109
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- アステラス製薬(株)
狂犬病は狂犬病ウイルスによって引き起こされる致死性脳炎で、ヒトを含めた全ての哺乳類が感染発症しうる代表的な人獣共通感染症の一つである。狂犬病は日本を含むごく一部の清浄国を除き、全世界で流行しており、今もなお公衆衛生上の問題となっている。ヒトへの感染経路は主に感染動物からの咬傷を介してであるが、臓器移植により感染した例も報告されている。発症後の治療法については未だ確立されたものはないが、ワクチンによる予防が可能であり、ワクチン未接種で曝露した場合でも発症前であればワクチンの連続投与による曝露後発病予防治療が有効である。狂犬病の診断は、特徴的な臨床症状および海外渡航歴等をもって本症を疑い、各種実験室内検査によって確定診断を行う。発症前診断法は確立されていない。狂犬病は「感染症法」において四類感染症に指定されており、診断した医師は保健所に届け出を行う必要がある。狂犬病対策の中心は媒介動物のコントロールであり、わが国では「狂犬病予防法」に沿って、放浪犬の捕獲、飼育犬の登録・ワクチン接種および輸入検疫等が実施されている。また、日本と同様に50年以上清浄地域であった台湾では、2013年に狂犬病がイタチアナグマで流行していることが判明している。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0301-259X
- 医中誌Web ID : 2014215043