2019年12月
下顎第一大臼歯にみられたsubmerged toothの1例 対合歯である上顎第一大臼歯は低位を呈した1例
新潟歯学会雑誌
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- 巻
- 49
- 号
- 2
- 開始ページ
- 55
- 終了ページ
- 60
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 新潟歯学会
submerged toothは、一度萠出し咬合位にあった歯が、何らかの機序で低位となった状態であり、同様の病態はreimpaction、secondary retention等の名称で報告されている。乳歯においてはまれではないが、永久歯における報告は非常に少ない。今回、一度萠出し充填処置を施された下顎第一大臼歯が埋没し、対顎の上顎第一大臼歯は低位骨性癒着歯を呈したまれな1例を経験したのでその概要を報告した。症例は55歳の女性で、埋伏した下顎第一大臼歯の精査加療を目的に2017年11月に当科を紹介受診した。右側下顎第二大臼歯は著明に近心傾斜し、右側下顎第一大臼歯は口腔内に確認できなかった。また、右側上顎第一大臼歯は隣接歯に比し低位で、打診で高音を呈した。パノラマX線写真では右側下顎第一大臼歯は垂直位に埋伏し、歯冠部に修復物と考えられる不透過像を認めた。右側下顎第一大臼歯、第二大臼歯、右側上顎第一大臼歯は保存不能と判断し、全身麻酔下に抜歯術が施行された。下顎第一大臼歯は多量の歯石が沈着し、咬合面にはアマルガム充填がなされていた。病理組織学的所見では、下顎第一大臼歯は根分岐部でセメント質と象牙質が骨組織に置換され、骨性癒着と判断される像が認められた。また上顎第一大臼歯歯根には著明な吸収像が認められた。発生機序としては、上下の第一大臼歯が萠出中に何らかの原因で骨性癒着が生じ、周囲の成長とともに下顎第二大臼歯は近心傾斜し、咬合力を介して第一大臼歯の埋没が生じたと推察された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0385-0153
- 医中誌Web ID : 2020225212