MISC

2021年8月

筋萎縮の治療法開発の現状

BIO Clinica
  • 土田 邦博

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開始ページ
915
終了ページ
918
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)北隆館

骨格筋は、可塑性の高い臓器であり、運動・筋力トレーニングで肥大するが、種々の筋疾患、加齢、寝たきりでは萎縮する。骨格筋は、神経筋接合部を介して筋収縮信号を受け取り体の恒常性維持や体の滑らかな動きに寄与している。最近では、骨格筋は多くのサイトカインやホルモンを分泌するとともにそれらの標的臓器となることが解析されている。骨格筋が分泌するサイトカインはマイオカインと総称されている。骨格筋は、ヘリックス・ループ・ヘリックス型転写因子群を中心とした時空間的な緻密な発現誘導により形成される。独自の幹細胞システムを持ち高い再生能力を有する。一方、超高齢社会を迎え、サルコペニアとフレイル克服が世界的な課題となっている。筋原性筋萎縮、運動ニューロン変性疾患や中枢神経障害による神経原性筋萎縮、がん悪液質、腎臓などの慢性の臓器不全においても筋萎縮が見られる。COVID-19の世界的なパンデミックによる外出制限は、筋の活動不足にも大きく影響を与えている。非活動的な生活が筋肉を含めた体の活動性を弱め、筋萎縮や腰痛・膝痛・肩痛などが急増しており悪循環に陥る危険性も議論されている。本特集号では、最近の筋疾患に対する多くの有望な治療法の開発が解説されている。特に長年に渡る日本人の貢献が際立った分野である。その中で本項では、特に筋萎縮の治療法開発の現状について紹介したい。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0919-8237
  • 医中誌Web ID : 2021291566

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