共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

There構文の多層的ネットワークの構築~構文文法の新たな枠組みを求めて~

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
18J20170
体系的課題番号
JP18J20170
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,300,000円
(間接経費)
0円

本年度は、去年度に引き続き三つの表現の研究を実施した。それぞれの研究において、具体的な動詞が用いられたthere構文の振る舞いを大規模コーパスでの用例を用いて調査を行なった。
一つ目の研究は、音放出動詞を伴うthere構文に関する研究である。1年目の研究で突き止めたthere構文における音放出動詞の振る舞い (音放出動詞をthere構文で用いた場合、音を直接主語にとる用例の割合が上昇する。この振る舞いは、there構文が語用論的機能から存在出現という意味を表すということから説明ができる) をまとめ発展させた。成果としては、上記の内容で論文を執筆し、英語語法文法学会の発行する論文紙である『英語語法文法研究』に投稿し、論文が掲載された。
二つ目の研究は、動詞comeを伴うthere構文の研究である。今年度は通時的な振る舞いに関して調査を行なった。具体的には、18世紀では現代とは異なる振る舞いをするthere come構文の存在が明らかになった 。また、19世紀以降、there come表現全体の頻度は低下しているにも関わらず、時間表現を主語にとる用例が増えていることが歴史英語コーパスから明らかになった。また、there comeをメタファーの観点から考察し、pointという名詞が主語として多く生起することから、この表現は観察者・登場人物の見えを反映した表現であり、人が人生を歩む中でまるで目の前になんらかの出来事が近づいてきているように捉える表現であるということがわかった。
三つ目の研究は、動詞speakを伴うthere構文の研究である。一年目に論文を投稿して査読結果に基づいて修正中であった内容が採用された。同時に関連表現である、英語のthere go構文の研究も行った。この表現は日本語では、「でた!」と訳され、出来事・会話の中のある一側面を捉える表現であることが判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18J20170
ID情報
  • 課題番号 : 18J20170
  • 体系的課題番号 : JP18J20170

この研究課題の成果一覧

論文

  5