共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

近代日本における信仰言説の研究―仏教・歴史・国家

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費
  • 呉 佩遙

課題番号
20J21655
体系的課題番号
JP20J21655
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,900,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本研究は、近代日本における「信仰 faith」の語りが、いつ、どのように成立したかという問題をトランスナショナル・ヒストリーの中で検討するものである。採用の初年度にあたる2020年度では、本研究に必要な基本文献の収集・整理をおこなった。具体的な検討内容として、博士前期課程の研究と継続して、1.「宗教」と「科学」の交渉から生じた迷信論、2.「健全なる信仰」を唱導した新仏教運動における「信仰」、3.仏教改良論の系譜と「信仰」の強調、といった問題を考察し、それに加え4.仏教とキリスト教の対話 5.近世から近代への「信」の断絶と連続 という新たなテーマにも取り組んだ。
研究成果として、1については、「経典」の再解釈との関わりから「迷信」を扱い、その議論を自由主義神学や草創期の仏教史研究など、同時代のコンテキストで位置付け、「近代日本における経典解釈の変容――境野黄洋を中心として」を日本思想史学会2020年度大会で報告し、論文「迷信と信仰のはざま――境野黄洋における「詩的仏教」の構想」を『日本思想史学』に投稿し、結果待ち中である。2については、1900年に創刊された雑誌『新仏教』における「信仰」の語りに着目し、それを検討した論文「新仏教の夜明け――境野黄洋の信仰言説と雑誌『新仏教』」が『近代仏教』に掲載された。3については、明治中期から明治後期にかけての仏教改良論における「信仰」への強調を取り上げ、その系譜を哲学館(現東洋大学)のネットワークに遡り、「哲学館における仏教改良の系譜――境野黄洋の「新真宗」論を中心として」を国際井上円了学会第9回学術大会にて招待講演をおこない、論文「境野黄洋の「新真宗」と近代の仏教」を執筆した。また、かかるネットワークの中心的な人物の一人であり、仏教史研究の先駆的な存在である村上専精の著作目録・年譜を作成した。4の課題については、20世紀転換期に巻き起こった新仏教運動と自由キリスト教の一派であるユニテリアンの交流に目を向け、「新仏教とユニテリアン――広井辰太郎の信仰論を中心として」を日本宗教学会第79回学術大会にて報告した。5については、「前近代」と「近代」をつなげる人物として島地黙雷を扱い、「啓蒙の時代における「信」――島地黙雷の宗教論を中心として」を日本近代仏教史研究会第28回研究大会で報告し、同様の課題について、‘‘The Discourse on ‘Faith’ in the Enlightenment Period: Shimaji Mokurai and Politics in Modern Japan’’も英語で、The Third Tohoku Conference on Global Japanese Studiesで報告した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20J21655
ID情報
  • 課題番号 : 20J21655
  • 体系的課題番号 : JP20J21655

この研究課題の成果一覧

論文

  10

講演・口頭発表等

  4