基本情報

所属
嘉悦大学 経営経済研究所 客員教授
北海道教育大学 名誉教授
学位
文学修士(東北大学)
博士課程後期課程単位取得退学(東北大学)

連絡先
socialresearcher7gmail.com
J-GLOBAL ID
200901066895601895
researchmap会員ID
1000001987

最近の研究、「大人入門」研究を紹介します。この研究は科学研究費(23K02558、2023-26)から生まれたものです。

 米国ではいち早く高等教育が大衆化し高卒生の6割が大学に進学している。良い職に就くには難関大学が有利なので過保護なまでに世話をして子どもが勉強に集中するのを助ける親が少なくない。日本でも上位大学を目指す家族は幼少期からお受験を始めるなど、状況は似通っている。その結果、自立した生活に必要な基本的な大人の生活術(ライフスキル)を知らず、試験の成績は良いが自立した生活ができず中退や留年のリスクが高い学生が増えている。
 2010年半ばから米国でadult(大人)という名詞を「大人になる、大人らしく振る舞う」という動詞として使う用法が若者のSNSで広がり、大人になるためのノウハウ本が出版され、大学で大人入門(Adulting 101)という授業が開かれるようになった。内容は多様で掃除、料理といった基礎的なスキルに加え家計や健康の管理、人間関係などの大人ならできて当然のスキル、さらにはリーダーシップや創造性などキャリアに役立つ高度なスキルも含まれる。
 「生活術は家庭で学ぶものだから大学には不適切だ」との批判もあるが、学生には人気ですぐに満員になる。ロサンゼルスタイムス紙(2019/12)も「大人になるのは難しい、カリフォルニア大学バークレー校にはそのための授業がある」と報じるなど社会的評価も高い。授業の他、学生支援センターや学生自治会、同窓会、学生クラブなどが自由参加のセミナーを開いている。学生はスキルを選んで受講している。大学だけでなく高校、公立図書館、市の青少年センター、NGOなど様々な機関が大人入門を開いている。米国以外でもカナダ、英国、ドイツ、豪州、韓国、台湾、シンガポールなどでも大人入門が開設されている。
 日本では大学は学生に学問教育を通じて専門的知識を学ばせ、高度経済成長に適した人材を供給してきた。就職は定期採用・年功序列・終身雇用・内部育成を行うメンバーシップ型雇用が定番なので、学生が採用時に大人のライフスキルを修得している必要はない。これが成功体験となって大学は学問の場だという意識が定着し、学問ではない大人入門が入る余地はない。
 他方、個人スキル重視のジョブ型雇用への移行、グローバル化、AIの実用化などの社会変化が進み、専門的知識を学ぶだけでは人生で成功するのが難しくなっている。学生が21世紀に活躍できる人材になるには、個人努力で大人入門を学ぶだけでなく、早急に大学・企業・社会によるライフスキル修得支援体制を整える必要がある。

・「大人入門」研究は2023年から25年にかけて7回、学会や研究会で報告し、論文・レポートを3本発表しました。ライフスキル(生活術)を教える「大人入門」は現時点では学問ではないため日本の大学では開講しているところはありません。しかし内容的は間違いなく受験生、大学生、大卒新人などに役に立つと思います。これまで何度か高校生や市民対象のセミナーで紹介して好評でした。ライフスキルはキャリアの各段階ごと、大学生、新人・中堅・ベテランワーカー、さらに現役引退した高齢者に適したものがあります。ライフスキルの取得状況は個人差が大きいです。私たちにはそれぞれ苦手のスキルや使いこなせないスキルがあります。大人入門を含むライフスキル教育は、発祥地の米国以外、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアの国々に広がりつつあります。目下、日本版の大人入門やライフスキル学習プログラムの開発をしています。社会が急速に変化しつつある現代社会に適したライフスキルを学ぶことは充実した生活を送るのに必須の事柄だと考えます。関心のある方と情報を共有したいので、ご連絡下さい。

 


経歴

  20

論文

  30

MISC

  15

書籍等出版物

  17

講演・口頭発表等

  47

担当経験のある科目(授業)

  9

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

  25