2018年4月 - 2021年3月
脊髄後角シナプス伝達における生体内D-セリンの 機能解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
神経障害性疼痛は神経の障害、機能不全など様々な原因によって発症し、種種の痛みを生じる慢性疼痛であり、この痛みの多様性ゆえに治療を非常に困難にしている。我々は、マウスに神経障害性疼痛を発症した状態下では、N-メチル-D-アスパラギン酸型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)のコ・アゴニストであるD-セリンの脊髄含有量が増加し、脊髄後角シナプスにおけるNMDA受容体を介した興奮性シナプス伝達が活性化されていることを明らかにしてきた。
本研究ではD-セリンを合成する酵素セリンラセマーゼ(SR)のノックアウト(KO)マウスを用い、内因性D-セリン及びSRが生体内において痛みの発生機序に果たす役割を、行動学的、また電気生理学的に明らかにすることを目的としている。
本年度は、SR-KOマウスの脊髄後角における興奮性シナプス伝達がどのように変化しているかを検討するため、一個の細胞の電気生理学的な活動を観察可能なホールセル(全細胞)パッチクランプ法を用いた解析を進めた。マウス脊髄切片標本を作成し、脊髄後角表層神経細胞から興奮性シナプス後電流(EPSCs)を記録した。 EPSCsを薬理学的にNMDA成分と非NMDA成分とに分離し、それぞれのピーク値からNMDA/non-NMNMD比を算出した。また、NMDA-EPSCsの減衰相に指数関数を当て嵌め時定数を算出した。 コントロールマウスとSR-KOマウスを比較すると、NMDA/non-NMNMD比およびNMDA-EPSCsの減衰相時定数に有意な違いがあることが見出された。
本研究ではD-セリンを合成する酵素セリンラセマーゼ(SR)のノックアウト(KO)マウスを用い、内因性D-セリン及びSRが生体内において痛みの発生機序に果たす役割を、行動学的、また電気生理学的に明らかにすることを目的としている。
本年度は、SR-KOマウスの脊髄後角における興奮性シナプス伝達がどのように変化しているかを検討するため、一個の細胞の電気生理学的な活動を観察可能なホールセル(全細胞)パッチクランプ法を用いた解析を進めた。マウス脊髄切片標本を作成し、脊髄後角表層神経細胞から興奮性シナプス後電流(EPSCs)を記録した。 EPSCsを薬理学的にNMDA成分と非NMDA成分とに分離し、それぞれのピーク値からNMDA/non-NMNMD比を算出した。また、NMDA-EPSCsの減衰相に指数関数を当て嵌め時定数を算出した。 コントロールマウスとSR-KOマウスを比較すると、NMDA/non-NMNMD比およびNMDA-EPSCsの減衰相時定数に有意な違いがあることが見出された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K16462
- 体系的課題番号 : JP18K16462