共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

軟質相と硬質相から成るナノ二相鋼の変形機構 ~不均一性を前提とした力学特性制御~

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
20H00306
体系的課題番号
JP20H00306
配分額
(総額)
45,500,000円
(直接経費)
35,000,000円
(間接経費)
10,500,000円

本研究では、軟質なフェライト(F)相と硬質なマルテンサイト (M)相からなる二相鋼(Dual Phase鋼)を題材として研究を行う。F+M二相鋼は、炭素鋼をF+A(オーステナイト)二相域で焼鈍し、急冷してAをMに相変態させることにより得られる。二相鋼では、二相域焼鈍条件や履歴を変えることによって、各相のサイズ、分布状態、体積率といった組織を制御することができ、軟質ドメインと硬質ドメインから構成されるナノヘテロ組織のモデル材として適している。
初年度である2020年度は、以下の研究項目を実施した。(1)二相鋼のナノ組織化:炭素量の異なるFe-Mn-C三元系合金を用い、研究代表者がこれまでに見出してきた加工熱処理手法を適用してナノ組織化を達成した。(2)変形中その場回折・解析手法の確立:研究分担者・足立がSPring-8に構築済みの装置を用い、本研究に適した装置構成への改良を行った。(3)二相鋼のマクロ力学特性の測定と局所変形挙動の測定:(1)で作製した二相鋼のマクロ力学特性を、研究室における室温引張り試験により明らかにした。二相鋼中の局所ひずみを、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation: DIC)により可視化および定量化した。硬質なマルテンサイト相と軟質なフェライト相の間で塑性ひずみが分配されることが定量的に明らかとなった。(4)軟質相と硬質相の間の力学的相互作用を解析する手法の開発:その場回折により得られる各相の内部応力、転位密度と、DICにより得られる各相のひずみおよび局所ひずみ分布データを基にして二相間の相互作用を解析する手法を確立した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H00306
ID情報
  • 課題番号 : 20H00306
  • 体系的課題番号 : JP20H00306