共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

ナノヘテロ構造制御によるナノ結晶/アモルファス複合合金の高強度・高延性化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01334
体系的課題番号
JP17H01334
配分額
(総額)
44,070,000円
(直接経費)
33,900,000円
(間接経費)
10,170,000円

ナノ結晶合金やアモルファス合金は結晶粒の超微細化等により極端に高強度化・硬質化しており、塑性変形中の加工硬化メカニズムは存在しない。このため、引張変形中にせん断帯が局所的に形成され、脆性的に破壊する。本研究ではこれまでに、ナノ結晶/アモルファス複合組織を有するNi-W系のナノヘテロ材料を開発し、応力誘起のナノ結晶粒成長による局所的硬化を生じさせ、加工硬化の発現と大きな塑性変形を発現させることができた。また、Zr-Cu-Ni-Al系金属ガラス合金においても、微量なAu, Pd等を添加すると、ナノ準結晶相の析出が容易となり、応力誘起のナノ準結晶相の析出による加工硬化の発現が認められ、圧縮変形時に大きな塑性変形を発現できることを明らかにした。このような結果を得て、上記材料の実用化に向けた研究にも着手している。
このような応力誘起によるナノ結晶粒成長やナノ準結晶相の析出には、アモルファス母相中に原子拡散を促進するための過剰なフリーボリュームの存在が必要である。しかしながら、これらナノヘテロ材料は、常温で放置しておいても体積収縮を伴うフリーボリュームの放出が生じ、徐々に応力誘起変態が生じ難くなる欠点を有する。 このように、応力誘起の相変態を容易に起こさせる材料は、同時に、常温付近の低い温度領域でも時効硬化が徐々に生じて、応力誘起による加工硬化は徐々に認められなくなり、高い延性能は消失する傾向ある。今後は、これらの問題を解決するため、熱的に安定な結晶相と時効硬化性のあるナノ結晶/アモルファス複合組織を有するナノヘテロ材料をマイクロメータサイズに積層化する等の方法により、これら材料の実用化に必要な温度領域での体積収縮を伴う組織変化を抑制する必要がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01334
ID情報
  • 課題番号 : 17H01334
  • 体系的課題番号 : JP17H01334