論文

2015年2月

乳児の泣きに対する母親の反応と対処行動について 生後1ヵ月から4ヵ月までの縦断的研究

日本母子看護学会誌
  • 檜森 千帆
  • ,
  • 加藤 尚美
  • ,
  • 猿田 了子

8
2
開始ページ
31
終了ページ
42
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本母子看護学会

目的 乳児の泣きに対する母親の反応及び対処行動を生後1ヵ月から4ヵ月までを縦断的に把握し、母親に対する支援を検討することを目的とした。対象と方法 正常な分娩経過であり健康で退院した4名の母親を対象に、質的記述的研究を用いた。半構成的面接と参加観察によりデータを収集し、逐語録を起こした。起こした逐語録から研究テーマに関連した内容を抽出し、質的記述的に分析を行った。結果 生後1ヵ月から4ヵ月の乳児の泣きに対する母親の反応ならびに対処行動を分析した結果、コード化したデータは992であった。コード化したデータから53のサブカテゴリーが抽出され、さらに5のカテゴリーが抽出された。5のカテゴリーは【児の泣きに対する感情・情動】、【児の泣きを母親が感じ取る】、【児の欲求を満たすための行動】、【児の泣きに対する思い】、【児の泣きを母親が受け入れる】であった。母親は生後1ヵ月では児の泣きに対して否定的な感情を示し、生後2ヵ月から3ヵ月をピークに激しい泣きを感じ取っていた。母親は、児の泣きを感じ取り、児の欲求を満たすための行動を繰り返し、泣きの意味が理解できるようになったという自信が見られ、生後4ヵ月には泣きに対する好ましい感情を示し、泣きを受け入れることができていた。結論 乳児の泣きに対する母親の反応ならびに対処行動について、母親が捉えた泣きの解釈に基づいて児の欲求を満たすための行動を繰り返すことで、児の泣きを受け入れることに繋がっていた。母親は、生後2ヵ月から3ヵ月をピークに児の激しい泣きから否定的感情を多く示していたことや、生後4ヵ月に入っても母親の思いはゆらぎやすいことから、母親へのサポートが重要な時期である。看護職者は、母親及び家族に対し乳児の泣きに対する知識や育児技術の提供、心理的サポートなどの支援が必要であることが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1882-2495
  • 医中誌Web ID : 2015169829

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