共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年8月 - 2020年3月

有孔虫殻の微量元素はなぜ種によって異なるのか-殻形成中の微細構造観察から迫る

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
19K21197
体系的課題番号
JP19K21197
配分額
(総額)
2,990,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
690,000円

石灰質有孔虫殻の微量元素組成・同位体がなぜ種によって異なるのかまだわかっていないが、プロキシーの信頼性向上の為にも細胞レベルでの元素の取り込みプロセスを理解する必要性がある。先行研究において石灰化時に殻形成部位と外界を隔絶する有機膜の存在が明らかになり、その有機膜の「水密性」が元素の取り込みに関与しているという仮説を立てた。本研究では有孔虫の殻形成プロセス解明のために殻形成中の試料を固定し、殻形成部位を覆う有機膜構造の違い、すなわち外界との「水密性」を殻のMg含有率の異なる3種の有孔虫で比較することを目的としている。
本年度は研究対象としているMg含有率の異なる3種類の有孔虫(Cibicides属、Rosalina属、Planoglabratella属)を岩礁地から採取し、単離した。単離した有孔虫を飼育し、まずは殻形成を誘導する条件を検討した。Rosalina属では餌の与え方を工夫することで石灰化誘導させられることがわかった。Planoglabratella属では細胞内に盗葉緑体を保持している為、明暗サイクルの暗条件下において石灰化を開始することが多い事がわかった。Cibicides属においてはまだ石灰化誘導には至っていない状況である。
石灰化誘導に成功した2属においては殻形成の全過程を把握する為に殻形成が始まるとその様子を倒立顕微鏡を用い詳細なタイムラプス観察を行った。また一部の試料を走査型電子顕微鏡観察用に生物固定行い、まとまった数が揃い次第順次、臨界点乾燥法を用い処理を行った。
本年度はエジンバラで開催された国際有孔虫会議でポスター発表を行った。欧州地球科学連合の学会誌BiogeoscienceにAmmonia属における全殻形成過程の詳細なタイムラプス観察と走査型電子顕微鏡による殻形成部位を囲む有機膜構造の形成と炭酸カルシウムの沈着の様子をまとめた論文が掲載された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K21197
ID情報
  • 課題番号 : 19K21197
  • 体系的課題番号 : JP19K21197