2018年6月
【嫌悪記憶の消去学習を巡るトランスレーショナル研究】 恐怖記憶の処理過程を制御する新規薬物療法の開発
日本生物学的精神医学会誌
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- 巻
- 29
- 号
- 2
- 開始ページ
- 60
- 終了ページ
- 63
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本生物学的精神医学会
恐怖記憶は、安全な状況で想起されると消去学習が成立し一時的に減弱する。不安障害等の曝露療法にこの消去学習のプロセスが応用されている。曝露療法はある種の薬剤の併用によりその治療効果を高めることができるが、その限界も指摘されている。そのため、恐怖記憶の処理過程を制御する曝露療法併用薬の開発が希求されている。理想的な曝露療法併用薬の特徴として、(1)曝露療法に際しての自覚的つらさを軽減する抗不安作用を有すること、(2)適切な曝露を保証するために文脈情報の認知機能を低下させないこと、(3)恐怖記憶の消去学習を阻害しない(あるいは促進する)こと、(4)恐怖記憶の再固定化阻害を有することが挙げられる。今後、恐怖記憶の消去と再固定化を制御する新規薬物療法の開発が実現することが強く期待される。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2186-6619
- 医中誌Web ID : S727440003