2018年4月 - 2021年3月
ステロイド抵抗性気道炎症の分子基盤解明と新規治療
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
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- 課題番号
- 18K08422
- 配分額
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- (総額)
- 4,420,000円
- (直接経費)
- 3,400,000円
- (間接経費)
- 1,020,000円
研究初年度には、当研究室において既に樹立してある卵白アルブミン(OVA)特異的ヘルパーT細胞(Th)クローンを用いて、ステロイド感受性を再確認した。Thクローンを抗原提示細胞、抗原(OVA)とともに培養し、細胞増殖応答を評価した(in vitroステロイド感受性)。培養中にDexamethasone (DEX)最終濃度1~1,000 nMを加え、IC50値を評価した。この系において、培養中に、CD28シグナル阻害効果を有するCTLA4-Ig 、あるいは種々のAkt inhibitor、PI3-kinase inhibitorを加えて、ステロイド感受性に対する効果を解析した。Thクローン移入喘息モデル(in vivoステロイド感受性)の解析は、各々のThクローンを無処置マウスに尾静脈より注入(Day 0)、翌日OVAを経気道的に抗原チャレンジし(Day 1)、さらに48 hr後に気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、細胞数、分画を測定した(Day 3)。in vitro実験においてステロイド感受性クローンに分類されたBF7、T6-2、T6-10を移入した場合、BALF中好酸球数は、Dexの用量依存的に低下する一方、ステロイド抵抗性クローンのT6-4、T6-7を移入した場合、BALF中好酸球数は有意な低下を認めなかった(ステロイド抵抗性好酸球浸潤)。T5-1を移入した場合、3 mg/kgのDex投与によりBALF中好酸球数が約30%低下した。薬物効果の解析には、Day 1、2にDex 1、3 mg/kg(またはvehicle)、加えてCTLA4-Ig 、PI3-kinase inhibitor(またはvehicle)を投与した。CTLA4-Ig は、in vivoにおいても、ステロイド抵抗性を解除し、ステロイド抵抗性炎症を、ステロイド感受性に変える効果を確認できた。