2018年4月 - 2021年3月
抗癌剤耐性高分化型口腔癌に対するEphA4を標的とした分子生学的メカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
早期舌癌に対して、術前低用量頻回投与の化学療法の効果を検討した結果、化学療法の効果が顕著であった(組織学的抗腫瘍効果がpathologicalComplete Response:pCR)患者集団においては、外科切除単独症例と比較して、後発転移が抑制されていることが確認された(Kina S, Nakasone T, Kinjo T, Nimura F, Sunagawa N, Arasaki A. Outcomes after up-front surgery and metronomic neoadjuvant chemotherapy with S-1 or UFT for early tongue squamous cell carcinoma. Clin Oral Investig. 2019;23(6))。その過程で、大変興味深いことに、低用量頻回投与の化学療法により高分化型腫瘍においては後発転移が抑制されているものの、低中分化型腫瘍では、後発転移が抑制されていなかった。このことは、高分化型腫瘍における遠隔転移は、リンパ節経由で、低中分化型腫瘍においては、血行転移である可能性を示唆している。そこで、高分化型腫瘍周囲では、腫瘍血管新生を抑制する何等かのメカニズムが生じていると考えられる。我々は、TCGA を使用したデータ解析から口腔癌において受容体型チロシンキナーゼEphA4 が高分化型腫瘍において高発現していることを確認している。さらにEphA4 は、血管新生因子IL-8 の発現を抑制していることを癌細胞株において確認している。これらの結果をふまえて、EphA4 が、高分化型腫瘍周囲における血管新生を負に制御していることが、高分化型腫瘍の抗癌剤耐性の原因ではないかと推察している。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K09729
- 体系的課題番号 : JP18K09729