2019年4月 - 2023年3月
核物質取扱い履歴推定に向けたウラン微粒子表面・内部の部位別化学状態分析手法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
核燃料物質であるウランは様々な化合物形態(化学形)を持ち、原子力関連施設で行われるウラン濃縮や燃料製造など、各工程で異なる化学形のウランが用いられる。世界各国の原子力施設でウランの取り扱い時に発生する、数マイクロメートル(μm)程度のウラン粒子の化学形を判別できれば、各施設におけるウラン取扱い履歴の推定が可能になると期待される。これまで、顕微ラマン分光分析法を用いてウラン微粒子の分析がなされているが、化学形の判別できない微粒子が存在することが課題であった。そこで本研究では、可視光線、電子線、X線を用いた異なる分析法を組み合わせることで、直径数μmのウラン微粒子の化学形を判別可能な手法を開発する。
令和元年度は、本研究の初年度であり、X線を用いるマイクロX線吸収分光法によって、ウラン粒子の化学状態を判別できるかどうかを試験した。モデル化合物として、二酸化ウラン、硝酸ウラニル六水和物、過酸化ウラニル水和物の、三種類の化学形の異なるウラン酸化物を用いた。カーボンテープ上にウラン粉末を担持し、約0.5μmの大きさに集光されたX線マイクロビームを用いて、直径2μmから3μmのウラン微粒子のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルを測定した。各化学形のウラン粒子のスペクトルはいずれも、カーボンテープに含まれた臭素の影響などを受けたためにXANESスペクトルのノイズが大きく、スペクトルの微細な変化が観測できなった。そのため、ウランの酸化数がともに6価である、硝酸ウラニル六水和物と過酸化ウラニル水和物の判別は困難であった。一方、ウランの酸化数が4価である二酸化ウラン粒子のXANESのピークトップは、ウランの酸化数が6価の他の粒子と比較して3 eV程度低エネルギー側にシフトした。この結果より、各粒子のXANESスペクトルから、ウランの酸化数が4価と6価の粒子を判別できることを明らかにした。
令和元年度は、本研究の初年度であり、X線を用いるマイクロX線吸収分光法によって、ウラン粒子の化学状態を判別できるかどうかを試験した。モデル化合物として、二酸化ウラン、硝酸ウラニル六水和物、過酸化ウラニル水和物の、三種類の化学形の異なるウラン酸化物を用いた。カーボンテープ上にウラン粉末を担持し、約0.5μmの大きさに集光されたX線マイクロビームを用いて、直径2μmから3μmのウラン微粒子のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルを測定した。各化学形のウラン粒子のスペクトルはいずれも、カーボンテープに含まれた臭素の影響などを受けたためにXANESスペクトルのノイズが大きく、スペクトルの微細な変化が観測できなった。そのため、ウランの酸化数がともに6価である、硝酸ウラニル六水和物と過酸化ウラニル水和物の判別は困難であった。一方、ウランの酸化数が4価である二酸化ウラン粒子のXANESのピークトップは、ウランの酸化数が6価の他の粒子と比較して3 eV程度低エネルギー側にシフトした。この結果より、各粒子のXANESスペクトルから、ウランの酸化数が4価と6価の粒子を判別できることを明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K15606
- 体系的課題番号 : JP19K15606
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