2018年4月 - 2021年3月
ASIC1aのロコモティブシンドロームの治療における分子生物学的アプローチ
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
酸感受性イオンチャンネル1a; Acid-sensing ion channel 1a (ASIC1a) は次世代型鎮痛剤の作用の受容体等として世界的に注目を集めている。最近、我々はASIC1aのノックアウトマウスの雌に上下肢の筋力の低下と易疲労性(サルコペニア)、脳内の側坐核(Nucleus accumbens)と海馬(hippocampus)を中心にしたミクログリアの増加(認知症)を見出した。このミクログリアの増加に注目し、マウス由来のミクログリア細胞株BV-2及びN-9を使用し、PCRやウェスタンブロッティング法などの手法を用いて解析し、また、SGK1遺伝子破壊株の作成にはCRISPR/Cas9システムを用いた。初めに二つのミクログリア細胞株におけるSGKサブタイプの発現を検討した結果、SGK1とSGK3の発現が認められた。SGK1遺伝子をCRISPR/Cas9システムを用いて破壊すると、SGK1遺伝子の破壊によるSGK3蛋白の発現変化は認められなかった。SGK1遺伝子破壊株(SGK1KO)と野生型の形態を比較したところ、活性化したミクログリアでしばしば見られるアメボイド型の細胞がSGK1KOでは野生型に比べ有意に多く観察された。また、SGK1KO細胞では細胞増殖の速度が増加した。これらのようにSGK1遺伝子の破壊により主に活性化されたミクログリアで見られる表現型が認められることから、SGK1はミクログリアの活性を抑制している可能性が示唆された。以上を、学会発表と論文作成した。(Potential implication of SGK1-dependent activity change in BV-2 microglial cells. Int J Physiol Pathophysiol Pharmacol. 2018 10(2):115-123.)
- ID情報
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- 課題番号 : 18K09039
- 体系的課題番号 : JP18K09039