共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年10月 - 2022年3月

オセアニアの人類移住と島嶼間ネットワークに関わる考古学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
18KK0019
体系的課題番号
JP18KK0019
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

本研究では、これまでオセアニアへと拡散した人類による島嶼間移住やネットワークに関わる考古学的証拠の発見を目的とし、主に東ミクロネシアにおける人類移住の拠点と考えられてきたポンペイ島での初期居住遺跡の発掘調査を、現地の研究機関およびオセアニア考古学をリードしてきたアメリカやニュージーランドの諸大学との国際共同研究として実施してきた。このうち2019年度の成果としては、まず2019年8月から9月にかけてポンペイ島の離島となるレンゲル島での発掘調査の実施があげられる。2018年度に実施した発掘の継続調査となる2019年度の発掘では、移住初期と推定される約2000年前の年代値が複数得られた下層の白砂層をターゲットとした。
一方、太平洋戦争時に日本軍の拠点となり、アメリカによる空爆も受けたレンゲル島は、島内各地の上層が撹乱を受けており、その影響が少ないエリアの特定が必要となった。このため、昨年度のトレンチを基点にその周囲に拡張する形で複数の試掘坑(テストピット)を開けた。その結果、下層の白砂層が撹乱の影響を全く受けていない地点を特定でき、またこのエリアでは白砂層から多数の赤色土器や貝類遺存体、炭化物の出土を確認できた。出土した赤色土器は、ミクロネシアにおいて初期移住期に各地で確認されているCST土器と呼ばれる白砂が混和材として土器中に含まれるもので、初期における物質文化として知られるものである。しかし、非常に脆い性質があり、形態が把握できる程度に一括で発見されることは稀である。ポンペイにおいてもこうした発見はまだほとんどなく、今回の発見によりその形態復元も含めた移住初期における土器の特徴や利用に関する研究を進めることが可能となった。
このほか、発掘成果を現地の青少年を対象に紹介する展示会の実施や成果の一部を国際学会にて発表したことも2019年度の成果である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18KK0019
ID情報
  • 課題番号 : 18KK0019
  • 体系的課題番号 : JP18KK0019

この研究課題の成果一覧

論文

  1

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  6