2017年4月 - 2022年3月
数理との協働による新しい大規模構造ヘルスモニタリングシステム技術の提案
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は,数理分野での研究成果との協働により,簡便で高精度・高効率・高信頼性のある新しい大規模構造ヘルスモニタリングシステムを開発することである.研究実施計画では,本年度は,「最適な構造ヘルスモニタリングシステムの仕組を開発」することを実施項目のひとつとしていた.それゆえ,そのための準備として,昨年度から,主としてマルチエージェントシステムに着目することによりセンサ網の設計手法についての基礎的研究を行っていた.これを受け,本年度も,マルチエージェントシステムの応用の可能性を探ることを中心に考察を深めた.これにより,マルチエージェントシステムを応用することでセンサ網を数理的に解析するコストを大幅に削減できる可能性が示唆される結果を得ることができた.センサ網の解析は,ヘルスモニタリングシステム構築においてシステムの安定性や堅牢性などを明らかにするためにも必要不可欠である.それゆえ本年度の結果は本研究の今後の展開においても意義があり重要なものとなっている.さらに,昨年度に引き続き,マルチエージェントシステムに着目したセンサ網の考察を,災害時の人間の避難行動の解析に応用する取組も行った.安心・安全は,本研究における最も重要なキーワードのひとつである.この取組を通じて,安心・安全につながる提案を行うことができた.より具体的には,安心・安全を得るためには,人々がどのように振舞えばよいのかという行動指針をシミュレーションにより示すことができた.この結果は論文として公表した.また,この結果を得ることにより,本来のマルチエージェントシステムとセンサ網に関する理解をさらに深めることができた.以上の本年度の成果は本研究の目的達成上重要な意味をもつものであると考えられる.
- ID情報
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- 課題番号 : 17K06951
- 体系的課題番号 : JP17K06951