共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

誘電泳動による選択的細胞分離技術の新展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K06176
体系的課題番号
JP17K06176
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

高効率・高精度の細胞分離を行うための誘電泳動(DEP)デバイスの開発を継続して行っている。最終目標とするDEPデバイスの性能として、①細胞試料に微量(<0.01%)に含まれる特定の細胞を分離可能であること、②電界・Joule発熱による細胞のダメージを極力抑えるため、負荷する交流電圧は可能な限り小さく、デバイスの大きさはこれら因子への細胞の暴露時間を最小限にするため可能な限り小さいこと、③分離後の細胞の回収が無菌的に容易に行える、などがある。
平成30年度の目標としては、平成29年度の成果を踏まえ、正常細胞と癌細胞の分離をさらに高効率で行うために必要な条件を明確にし、それら条件の絞り込みを行うことである。平成29年度の研究では櫛形電極を用いた平行平板型デバイスを作成し、細胞試料にヒト乳腺正常細胞(MCF10A)と癌細胞(MCF7、MDA-MB-231)を用いた細胞分離実験を行い、MCF10AとMDA-MB-231の組み合わせでは最大約92%の分離効率を示した。
この分離効率の値をさらに高めて行くためには、交流周波数に対する細胞の 正確な誘電泳動特性の把握が必要である。そのため平成30年度では、細胞の誘電泳動特性を直接測定可能なデバイスを作成し、正常細胞、癌細胞それぞれについて誘電泳動特性の測定と、測定結果の妥当性を検証するための理論解析を行った。
細胞の誘電泳動特性を特徴付けるのはClausius-Mossotti因子βの実数部Re(β)である。そのため、Re(β)を直接実験的に測定可能なCreek-gap電極を設計・製作し、ヒト乳腺正常細胞と癌細胞のRe(β)の測定を幅広い交流周波数について行った。さらにRe(β)の測定値をSingle-shellモデルを用いた理論解析値と比較することで、Creek-gap電極による細胞のRe(β)を高い精度で測定できることが判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K06176
ID情報
  • 課題番号 : 17K06176
  • 体系的課題番号 : JP17K06176