2013年1月15日
前頭側頭型認知症患者の歯科治療におけるBISモニター下鎮静法管理経験
日本歯科麻酔学会雑誌
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- 巻
- 41
- 号
- 1
- 開始ページ
- 34
- 終了ページ
- 37
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本歯科麻酔学会
前頭側頭型認知症(FTD)は大脳の前頭部および側頭部に限局性脳変性・萎縮を呈する疾患である。臨床上、易転導性の亢進や意思疎通の困難などで歯科治療時の協力性が得られにくいため、比較的早期から鎮静法下あるいは全身麻酔下での治療が必要となる可能性が高い。一方、認知症患者に対しBISモニターを用いた静脈内鎮静法管理はいくつか報告されているが、FTD患者においてはBIS使用例のみならず静脈内鎮静法管理例報告も見当たらない。今回われわれは、中期から末期のFTD患者に対しBISモニターを用いた鎮静管理を経験した。BISモニターの電極は血流の低下や萎縮の程度が少ない右側に貼付した。プロポフォール持続注入速度1.5〜3.5mg/kg/hにて終始意識下鎮静レベル内で処置を終了した。BIS値においては対照値が97と正常値を示し、かつ鎮静中の値も80台で終始臨床所見と相関した。認知症ではその種類により脳波の所見が異なる。アルツハイマー型認知症(AD)では初期のうちは正常脳波ないしα波とβ波の減少がみられ、中期には徐波であるθ波が多くみられる。一方FTDでは、中期までは正常であり、末期になって初めてα波の徐波化、出現量の減少などが認められる。つまり、FTDではADと異なり中期までの病期であればBISモニターが鎮静度の評価に有用であると思われる。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0386-5835
- eISSN : 2433-4480
- 医中誌Web ID : 2013203651
- CiNii Articles ID : 10031145189
- CiNii Books ID : AN00191223