共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年9月 - 2023年3月

吸入麻酔薬Xeキセノンの溶解による静脈内鎮静法の可能性

日本学術振興会  科学研究費助成事業  研究活動スタート支援

課題番号
20K23090
体系的課題番号
JP20K23090
配分額
(総額)
1,560,000円
(直接経費)
1,200,000円
(間接経費)
360,000円

キセノンガス(Xe)は理想の吸入麻酔薬である。その理由としては、(1)きわめて迅速な麻酔作用、(2)鎮痛作用、(3)低毒性、(4)臓器保護作用、(5)心機能抑制および呼吸抑制が少ないこと等が挙げられる。しかし、Xeはきわめて高価であり、臨床ではあまり普及していないのが現状である。
一方、歯科領域の静脈内鎮静法(IVS)は、(1)歯科治療に対する不安・恐怖心の緩和、(2)循環動態の安定、(3)過呼吸の予防・抑制、(4)骨格筋の緊張・不随運動の予防、緩和、(5)異常な神経反射抑制、(6)行動調整、(7)痙攣発作の予防等の効果があり、歯科処置・口腔外科手術の際に用いられることが多い。さらに高齢者に対してもIVSが適応されることも少なくない。高齢者は循環系疾患を有していることが多く、麻酔薬を投与すること自体が、呼吸・循環機能を低下させるため、心機能抑制、循環虚脱、心停止等の合併症を誘発する可能性がある。したがって呼吸・循環抑制が少なく、迅速な鎮静/覚醒のコントロールができるIVSが可能となればきわめて有用である。
本研究では、Xeの迅速な麻酔作用、心機能抑制および呼吸抑制が少ないことに注目し、Xeを液体に溶解させ静脈内投与することで麻酔鎮静ができることを明らかにし、そのプロセスの開発基盤を構築することを目的とする。このXeを静脈内へ投与することが可能となれば、吸入麻酔薬として用いる場合よりも少量で効果が期待できると推測されることから、Xeの低コスト化も期待できると考えられる。
研究計画については、(1)Xeの脂肪乳剤溶解実験、(2)マウスへのXe溶解液投与(皮下および尾静脈)、(3)加圧・冷却によるXe高濃度溶解の検討とその効果判定、(4)Xe溶解液作製および持続静脈内投与のための装置の開発を進めることである。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K23090
ID情報
  • 課題番号 : 20K23090
  • 体系的課題番号 : JP20K23090