症例は25歳男性で、ふらつきと両側耳鳴を自覚したため近医耳鼻咽喉科を受診した。両耳に低音障害型感音難聴を認めたが、フレンツェル眼鏡による眼振検査では眼振を認めなかった。イソソルビドが投与されたが聴力は改善せず、ふらつきも持続したため精査加療目的に当科を紹介受診した。非注視下の坐位正面視で上眼瞼向き自発眼振、臥位で方向交代性背地性頭位眼振を認めた。頭部MRI所見から第四脳室腫瘍と診断し、水頭症を合併し脳ヘルニアの危険が考えられたため、当院脳神経外科へ転科の上、正中後頭下開頭アプローチによる腫瘍切除術を施行した。病理組織検査ではGFAP染色陽性のpiloid cellとOligo 2染色陽性のoligodendrogliaの二相性構築を認め、毛様細胞性星細胞腫と診断した。術後12ヵ月目に残存腫瘍の浸潤による平衡障害の悪化と水頭症を認めたため、再手術が行われた。