2016年4月 - 2019年3月
CR幾何における大域解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
共形多様体や強擬凸CR多様体の不変量について幾何的・解析的な観点から研究を行っている.本年度の主な研究成果は以下の通りである.
(1)Graham-Wittenエネルギーの第二変分:GrahamとWittenはAdS/CFT対応の研究のなかで,共形多様体内の偶数次元の部分多様体に対する不変量を構成した.これをGraham-Wittenエネルギーと呼ぶ.2017年にGrahamとReichertはこのエネルギーの部分多様体の変形に関する第一変分を計算し,Einstein多様体内の極小部分多様体において第一変分が0になることを示した.本年度はこの場合にエネルギーの第二変分公式を導出した.応用として,単位球面内の全測地的な球面において第二変分が自明な方向を除いて正定値であることを示した.
(2)強擬凸CR多様体のChern類に対する制約:CR多様体が強擬凸の場合にChern類にどのような制約を受けるかについて調べた.5次元以上の連結かつ閉な強擬凸CR多様体は滑らかな複素射影代数多様体内の強擬凸領域の境界として実現できることが知られている.この事実から,閉強擬凸CR多様体のChern類に対するある種の消滅定理を証明した.さらに具体例を通して,今回得られた結果がある意味で最良であることを確認した.
(3)擬Einstein接触形式の存在に関する安定性:強擬凸CR多様体の不変量であるBurns-Epstein不変量や全Q-prime曲率を定義するためには,擬Einstein接触形式と呼ばれる「弱い」Einstein条件を満たす接触形式が必要不可欠である.特にこれらの不変量のCR構造の変形に対する変分を考えるためには,擬Einstein接触形式の存在が変形について保たれることを保証する必要がある.本年度はこの問題を複素多様体内の実超曲面の変形として実現できるCR構造の変形に対して解決した.
(1)Graham-Wittenエネルギーの第二変分:GrahamとWittenはAdS/CFT対応の研究のなかで,共形多様体内の偶数次元の部分多様体に対する不変量を構成した.これをGraham-Wittenエネルギーと呼ぶ.2017年にGrahamとReichertはこのエネルギーの部分多様体の変形に関する第一変分を計算し,Einstein多様体内の極小部分多様体において第一変分が0になることを示した.本年度はこの場合にエネルギーの第二変分公式を導出した.応用として,単位球面内の全測地的な球面において第二変分が自明な方向を除いて正定値であることを示した.
(2)強擬凸CR多様体のChern類に対する制約:CR多様体が強擬凸の場合にChern類にどのような制約を受けるかについて調べた.5次元以上の連結かつ閉な強擬凸CR多様体は滑らかな複素射影代数多様体内の強擬凸領域の境界として実現できることが知られている.この事実から,閉強擬凸CR多様体のChern類に対するある種の消滅定理を証明した.さらに具体例を通して,今回得られた結果がある意味で最良であることを確認した.
(3)擬Einstein接触形式の存在に関する安定性:強擬凸CR多様体の不変量であるBurns-Epstein不変量や全Q-prime曲率を定義するためには,擬Einstein接触形式と呼ばれる「弱い」Einstein条件を満たす接触形式が必要不可欠である.特にこれらの不変量のCR構造の変形に対する変分を考えるためには,擬Einstein接触形式の存在が変形について保たれることを保証する必要がある.本年度はこの問題を複素多様体内の実超曲面の変形として実現できるCR構造の変形に対して解決した.
- ID情報
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- 課題番号 : 16J04653
- 体系的課題番号 : JP16J04653
この研究課題の成果一覧
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論文
6-
Symmetry, Integrability and Geometry: Methods and Applications 2020年1月21日 査読有り筆頭著者責任著者
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Pacific Journal of Mathematics 303(2) 757-765 2019年12月31日 査読有り筆頭著者責任著者
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Proceedings of the American Mathematical Society 148(1) 393-402 2019年8月7日 査読有り筆頭著者責任著者
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The Journal of Geometric Analysis 29(1) 134-141 2019年1月 査読有り筆頭著者責任著者
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Advances in Mathematics 328 82-111 2018年4月 査読有り筆頭著者責任著者
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Mathematical Research Letters 24(5) 1523-1554 2017年 査読有り筆頭著者責任著者
講演・口頭発表等
5-
接触構造,特異点,微分方程式及びその周辺 2019年1月29日 招待有り
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2017年度多変数関数論冬セミナー 2017年12月23日 招待有り
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複素解析幾何セミナー 2017年6月19日 招待有り
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第14回 城崎新人セミナー 2017年2月16日
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Young Mathematicians Workshop on Several Complex Variables 2016 2016年11月11日 招待有り