2017年4月 - 2020年3月
神経損傷後の痙縮症状に対するリハビリ効果定着のための細胞機能制御に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
脊髄損傷後の痙縮に対するリハビリ効果の定着メカニズムを明らかにするため、前年度に設定したラット脊髄損傷モデル、Swimmingテストによる行動評価、免荷式歩行訓練の実験系を引き続き行った。Swimmingテストにより痙縮症状が強く出る個体を選別することが可能となり、免荷歩行訓練による介入実験が効率よく行えるようになった。痙縮症状が顕在化している脊髄損傷ラットに対して免荷歩行訓練を4週間継続することで、Swimmingテストで検出される痙縮症状が減少することが明らかとなった。その背景となる分子メカニズムについて、網羅的解析と並行して候補分子に着目した実験を行った。候補分子としては運動ニューロンの興奮性に関与するセロトニンシグナルに着目した。組織学的解析から痙縮症状の増悪とともにセロトニンシグナルの過活動(セロトニン受容体の過剰発現)が脊髄損傷部以遠の運動ニューロンで確認され、これが歩行訓練によって減弱することが確認された。そこでセロトニンシグナルを修飾する薬剤を投与することで症状の継続的な改善を得ようとしたが、初期の検討では十分な効果が得られず次年度以降の課題となった。
一方、脊髄組織内のグリア細胞の機能を選択的に評価するためにセルソーターによる分離評価の検討を行った。表面マーカーによる分離の他に、アストロサイト特異的に発現するAldh1l1分子の発現に応じてGFPを発現するレポーターマウスを用いることも検討したが、成体脊髄からのアストロサイトの分離回収を安定して実施することは困難だった。今後、上記のセロトニンシグナル関連の候補分子に着目した介入を中心に進めていく。
一方、脊髄組織内のグリア細胞の機能を選択的に評価するためにセルソーターによる分離評価の検討を行った。表面マーカーによる分離の他に、アストロサイト特異的に発現するAldh1l1分子の発現に応じてGFPを発現するレポーターマウスを用いることも検討したが、成体脊髄からのアストロサイトの分離回収を安定して実施することは困難だった。今後、上記のセロトニンシグナル関連の候補分子に着目した介入を中心に進めていく。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H02127
- 体系的課題番号 : JP17H02127