共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2019年3月

ふく射スペクトル制御型熱ダイオードを用いた高効率ソーラー熱光起電力発電

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
16H02117
体系的課題番号
JP16H02117
配分額
(総額)
42,250,000円
(直接経費)
32,500,000円
(間接経費)
9,750,000円

本課題ではこれまでの研究で培ってきた高温環境下でのふく射スペクトル制御技術に基づく熱ダイオード技術および熱放射準単色化技術の開発を行い、ソーラー熱光起電力(Thermo PhotoVoltaic; TPV)発電システムの飛躍的効率向上を目的として研究を行ってきた。ソーラーTPVシステム高効率化のためには入射エネルギー量と放射面からの熱放射量との比、すなわち熱の整流性の指標となる放射抽出効率を大きくする必要がある。昨年度は高い光電変換効率実現のために重要な準単色熱放射構造の作製に成功した。また高い放射抽出効率を有するアブソーバ・エミッタの概念設計を行い75%の放射抽出効率が可能な構造を見出した。今年度は構造および作製プロセスの最適化を行い、光学シミュレーションと同様の狭帯域熱放射ピークを実験的に得ることができた。また高い放射抽出効率が期待できるキューブ型アブソーバ・エミッタを作製し発電試験を行った。その結果、高い放射抽出効率に起因する世界トップレベルの高いエネルギー変換効率(5.6%)を達成することができた。またさらなる効率向上に寄与するものとしてアブソーバにおける角度選択吸収の実現が挙げられる。本研究ではアブソーバ表面に角度選択吸収特性を持たせるのではなく、光学ミラーによりアブソーバからの再放射を回収することで再放射ロスを抑制しエミッタからの放射抽出効率のさらなる向上が可能であることを見出した。以上の研究より新たな太陽エネルギー利用のための基盤技術を構築することができたと考えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16H02117
ID情報
  • 課題番号 : 16H02117
  • 体系的課題番号 : JP16H02117