共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

「源平盛衰記」の出版と流布に関する研究―日本人の歴史観形成の一階梯―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K00295
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

閲覧調査、研究・検討会は、研究協力者の松尾葦江氏・高木浩明氏・山本岳史氏の3名と共に進めた。
研究目的(1)『源平盛衰記』古活字版成立に関する調査研究では、次の資料が特に注目された。鶴舞中央図書館蔵河村文庫の乱版(各冊により構成状況は異なるが、古活字版と整版とが取り合わせされた珍しい版行形態である近世前期『源平盛衰記』)は、河村秀根・益根父子等による朱の書入れ等が随所にあり、慶長古活字版との校合以外に、他の写本等の本文の校合・校異・注記等、多くの情報が得られることが閲覧調査、及び研究・検討会は、研究協力者の松尾葦江氏、高木浩明氏、山本岳史氏の3名と共に進めた。確認された。全冊のカラー撮影を行い、書入れ等の分析から、慶長古活字版→元和寛永古活字版→漢字片仮名交本文(古活字・整版)の具体的な本文形成の考察・追跡を継続している。
また、石川武美記念図書館成簀堂文庫の乱版25冊本と24冊本の2点は、川瀬一馬氏『新修成簣堂文庫善本書目』に寛永期の版行本であることが報告されていたが、従来の研究ではほとんど参照されておらず、乱版であることも確認されていなかった。しかも25冊本は、整版丁の摺刷状況が極めて良くごく初期のものと思われる。誤って『太平記』の整版丁が1丁綴じ込まれている、他の乱版とは版を異にする整版丁が綴じ込まれている、等の特徴も見出され、乱版の作成や出版の背景を考察する上で極めて重要な資料であることが確認された。
研究目的(2)『源平盛衰記』無刊記整版諸本の成立をめぐる調査研究は、2018年度夏に池田光政筆の『盛衰記歌』という『源平盛衰記』所収歌の抜書という新出資料があった。『源平盛衰記』の抜書資料は近世後期に至るまで続けられていたが、所収歌の抜書資料はほとんど例がなく、近世期前期における大名家での『源平盛衰記』受容やその本文の検討を進め、まずは解題を付して本文の翻刻を行った。

ID情報
  • 課題番号 : 18K00295

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論文

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