講演・口頭発表等

2019年9月

津波堆積物の化学分析; X線分析顕微鏡による高空間分解能測定

日本陸水学会第84回金沢大会
  • 渡邊 隆広
  • ,
  • 奈良 郁子
  • ,
  • 植木 忠正
  • ,
  • 土屋 範芳

記述言語
日本語
会議種別
開催地
金沢(日本)

地層中の津波堆積物を用いて過去に繰り返し発生した歴史津波の規模を明らかにすることにより、将来起こりうる津波災害の防災、減災につなげる試みが検討されている。津波堆積物とその他の堆積層を区別するため試料の化学組成が用いられている。津波堆積物の化学分析については、迅速かつ大量の試料を処理する必要がある。しかし、陸域の堆積物はかく乱されるケースが多く、かつ堆積環境が不安定であるため、堆積物の組成は単純ではない。広範囲において適用できる汎用的な化学分析手法および解析手法は未だ確立されていない。そこで本研究では、走査型X線分析顕微鏡を用いた津波堆積物の化学分析手法および得られたデータの解析手法について検討結果を報告する。測定結果は、既報の蛍光X線分析による化学組成データとよく一致しており問題なくデータの蓄積が可能であることが示された。各元素のX線強度の主成分分析を実施した結果、形成過程の異なる津波堆積物砂層と浜堤堆積物砂層の区別ができる可能性が示唆された。今後はより明確に区別するため、多地点のデータの蓄積が必要になる。