小川 直之

J-GLOBALへ         更新日: 18/12/15 03:31
 
アバター
研究者氏名
小川 直之
所属
亜細亜大学
部署
経営学部経営学科
職名
教授

研究分野

 
 

学歴

 
1992年4月
 - 
1997年3月
慶應義塾大学大学院 文学研究科 フランス文学専攻
 
1997年10月
 - 
1999年9月
パリ第10大学 人文学部 
 
1998年10月
 - 
2000年3月
フランス政府給費留学生  
 

論文

 
《Sur une tradition de lapriere epique: les themes deJonas et de Daniel》
『藝文研究』   69号 220-230   1995年12月
中世フランス叙事詩の登場人物たちは、危難に際し神や聖人たちの事績を描写することによって祈祷を捧げ加護を求めることがある。中でも祈願の対象とされることの多いのが旧約聖書の二人の預言者ヨナとダニエルである。本稿は、二人に対する祈願文の文体の変遷を分析することにより、このような場面の描写に叙事詩作者たちが依拠したのは、書物としての『聖書』よりも、教会彫刻の具象的表現である可能性を示唆した。
「伝説的サラディン像の形成─中世フランス文学における、尊敬せざるをえない異教徒の受容について─」
『Plume フランス語フランス文学研究』   5号 30-36   2001年1月
十字軍と戦ったイスラムの英雄サラディンについて、中世ヨーロッパは多くの伝説を残した。大半は彼に対して好意的なものだが、その出自をフランスの名門貴族としたり、実はキリスト教騎士の叙任を受けていたとしたり、キリスト教に改宗していたとするなど、偉大な異教徒をキリスト教側に取り込んで理解しようとする意図を示している。この観点から、中世ヨーロッパにおけるイスラム理解のあり方の典型を指摘できた。
《 La legende epique relativea la mort de Mahomet dansl'Occident medievale― Mahomet, en etat d'ivresse,est devore par des cochons― 》
『日本フランス語フランス文学会 関東支部論集』   10号 5-18   2001年12月
イスラムの始祖マホメットについて、その実像を全く知らなかった中世西洋では様々な伝説が広められた。大部分は悪意に満ちた攻撃的なものである。本稿は、マホメットの死をイスラムにとっての禁忌である飲酒と不浄の獣である豚に結びつけて語る伝説を研究することによって、ヨーロッパのイスラムに対する(無)理解の特徴を指摘し、それが現代の欧米の異文化理解の仕方にも通じていると示唆した。
《Les transformations de l'image d'un grand paien a traversles epopees de la croisade :le prince Cornumaran, modeledu heros musulman 》
『フランス語フランス文学研究』Etudes de Langue et Litterature Francaises   80号 3-16   2002年3月
十字軍をテーマとする叙事詩は、12世紀初期から3世紀以上にわたって作成され続けたが、その全般にわたって登場するイスラム教徒に、エルサレム王子コルニュマランがいる。本論考は、この人物のイメージの変化を、中世の各時期における対イスラム観と照らし合わせ、それによって、中世ヨーロッパ精神史の一面を描き出そうと試みたものである。
「『ギヨーム・ド・ティール年代記続編』の未発表断片写本について」
『フランス語フランス文学研究』Etudes de Langue et Litterature Francaises   92号 155-168   2008年3月
西洋中世最大の歴史家ギヨーム・ド・ティールの『年代記』とその死後に書き継がれた『続篇』とは、12・13世紀ヨーロッパおよび中東に関する第一級の史料である。世界中で現在49写本が認められているが、筆者は2006年パリの古書店にて未発表の断片写本複葉を発見した。本稿は、そこに見出せる興味深い異文に焦点を当てた報告である。なお、本断片全体のエディションを国際的な研究誌に近々発表する予定である。

Misc

 
「Aymeri de NarbonneとGirartde Vienneにおけるtechniquesjongleresquesの研究」
慶應義塾大学修士論文総52頁      1992年1月
研究対象とした2篇の中世フランス語による叙事詩は、19世紀末に碩学G・パリスが同一作者の作品と断定して以来、それが通説となっている。本論考は、この2篇について、J・リシュネールによる叙事詩の修辞的技法論を利用して、とくに文体および言葉遣いの観点から詳細な比較を行った。その結果、2作品は少なくとも技巧の種類やレベルにおいて大きな違いをみせており、同一作者説を見直す必要があることを示唆することができた。
《 L'image des Sarrasins dansla Chanson de Jerusalem : atravers cette epopee dupremier cycle de la croisade,comment le poete a-t-ilutilise la tradition epique etquels elements a-t-ilrajoutes, afin d'aider ajustifier la propagande de laguerre sainte contre
パリ第10大学DEA論文   93   1999年5月
第1次十字軍における聖地奪回という歴史的事件を主題とした12世紀の中世フランス語叙事詩について、そこに描かれた異教徒のイメージを分析することにより、この詩が中世西洋のイスラム世界に対する憎悪と憧憬をない交ぜにした心性を反映していることを示した。さらに、当時の思想界で一般的に承認されているとは必ずしもいえなかった十字軍思想の正当化および普及に、この作品がどのように貢献しえたかを追究した。
《Etude des deux traditionspoetiques contradictoires surRobert de Normandie dans leschroniques du XIIe siecle etdans les deux premiereschansons de geste du cycle dela croisade》
CAHIERS D'ETUDES FRANCAISES   4号 1-13   1999年12月
十字軍を題材とする叙事詩群のうち最初期二篇には、第1次十字軍における功労者の一人ノルマンディー公ロベールに関し、ふつう異教徒に限って使われる形容が行なわれ、これは一般に写字生の書き誤りとされる。本稿は、同時代の年代記の叙述において、この形容を異文として成り立たせる言述を指摘し、これまで不明とされてきたテキストの読みを可能とした。
《L'amitie d'un princemusulman pour les chretiens etsa conversion auchristianismedans les epopeesde la croisade: comment leSarrasin Corbaran s'est-ilmetamorphose en combattantchretien ? 》
『藝文研究』   82号 317-332   2002年5月
十字軍文学は本来、キリスト教徒とイスラム教徒との対決を善悪二元論的な立場から描くことによって、十字軍思想を正当化し鼓舞する目的をもつ。しかしその中の3篇には、キリスト教徒らと友情で結ばれ、遂には改宗したうえ十字軍戦士として旧同宗者と戦うイスラム君主コルバランが登場する。本稿は、その人物像の生成過程を明らかにすることにより、それらの作品が書かれた13世紀西洋のメンタリティーを浮き彫りにした。
《Une traitrise envers lesmusulmans transformee en unacte heroique par l'esprit dela croisade 》
『人文研紀要』   49号 181-196   2003年10月
13世紀のフランス語叙事詩『アンティオケアの歌』に語られる、某イスラム教徒の内通によるアンティオケア陥落は史実である。叙事詩がこの裏切り行為を英雄的行為として描く手法を分析し、十字軍精神が文学作品においてどのように適用されているかを追究した。

書籍等出版物

 
『フランス語フランス文学研究文献要覧2001/2002』
日本フランス語フランス文学会編集・ (担当:共著)
日外アソシエーツ出版   2004年6月   
日本フランス語フランス文学会編集による研究文献要覧の2001-2002年版において、該当年次に日本において発表されたフランス中世文学関係の研究論文・翻訳・エッセイ等を調査してリストを作成するとともに、関連項目の検索を可能とする索引を付した。
『剣と愛と-中世ロマニアの文学―』
中央大学出版部   2004年8月   
執筆担当部分:「フランス中世叙事詩と年代記における、十字軍の英雄ノルマンディー公ロベールに対する毀誉褒貶」
征服王ウィリアムの長子にして十字軍の英雄であるノルマンディー公ロベールについて、十字軍を称揚すべき中世フランス叙事詩の中には、作品内部の情報からでは説明のできない侮蔑的形容が散見される。本稿は、12世紀から14世紀の英仏で書かれたラテン語年代記を読み解き、それらの不可解な否定的言辞が、聖地から帰国して以降のロベールの波乱に満ちた後半生と屈辱的な最期を反映していると結論づけた。
『続 剣と愛と-中世ロマニアの文学―』
中央大学出版部   2006年11月   
執筆担当部分:「サラディンを倒したイスラムの名剣マルグレ―中世フランスの物語におけるイスラム排撃のプログラム―」
15世紀フランスの作品『サラディン』で、世界史的英傑にして十字軍最大の敵サラディンは、十字軍戦士によって投じられたイスラム伝来の名剣マルグレによって倒される。この剣は12世紀前半の叙事詩にイスラム王子の愛剣として描かれて以来、様々な作品を通じてキリスト教とイスラム教双方の英雄の手を転々とした。『サラディン』作者が、サラディン打倒のためにはこの剣をもってするしかなかったことに、当...
『Anglo-Saxon語の継承と変容Ⅱ中世英文学』
共著者:松下知紀・篠田勝英 (担当:共著)
専修大学出版局専修大学社会知性開発センター   2010年2月   
第6章「専修大学図書館所蔵第2番写本『薔薇物語』冒頭808行の校訂」を執筆。2009年に発表した「専修大学図書館所蔵『薔薇物語』第2写本の概要および冒頭6葉の転写テキスト」(『Anglo-Saxon語の継承と変容 叢書4』に所収)を発展させた研究である。
Bonjour, la France! de KAKIYAMA Takashi
柿山隆、小川直之。 (担当:共著)
亜細亜大学購買部   2014年3月   
本書は、本学名誉教授である柿山隆先生が、亜細亜大学在職時である2002年、初級フランス語教育のために執筆された『Bonjour, la France!』をもとに、小川氏が2014年に語彙・文法・例文・練習問題の全般にわたり改訂したものである。以来、本学1年生の必修フランス語の教科書として使用されている。文部科学省後援「実用フランス語技能試験」5級レベルの学習には過不足ない内容となっている。

講演・口頭発表等

 
「武勲詩の決闘場面における《祈願》─ヨナとダニエルのテーマの伝統について─」
慶應義塾大学藝文学会(於 慶應義塾大学三田キャンパス)   1995年5月1日   
慶應義塾大学藝文研究会『藝文研究』(第69号)所収論文のもとになった発表である。ただし本発表では、「救難」の存在である2人の預言者ヨナとダニエルに対する祈願が、『ロランの歌』のようなフランス叙事詩のジャンルとしての初期においてどのように導入され、やがて13世紀に形式化されて一種の決り文句になっていったかという点に焦点を当てた。
「十字軍系列武勲詩群における《偉大なる異教徒》像の変遷の一例について─イスラームの英雄Cornumaran の場合─」
日本フランス語フランス文学会2000年秋季大会(於 弘前大学)   2000年10月1日   
日本フランス語フランス文学会『フランス語フランス文学研究』Etudes de Langue et Litterature Francaises (第80号) 所収論文のもとになった発表である。発表をほぼそのまま論文にしているので、該当する論文の要約を参照していただきたい。
「伝説的サラディン像の形成─中世フランス文学における、尊敬せざるをえない異教徒の受容について─」
中央大学人文科学研究所研究会(於 中央大学八王子キャンパス)   2000年12月1日   
中央大学出版会『Plume フランス語フランス文学研究』(第5号)所収論文のもとになった発表である。発表をほぼそのまま論文にしているので、該当する論文の要約を参照していただきたい。
「中世フランス叙事詩および年代記におけるマホメットの伝説」
日本フランス語フランス文学会関東支部春季大会(於 静岡大学)   2001年3月1日   
日本フランス語フランス文学会関東支部『日本フランス語フランス文学会 関東支部論集』(第10号)所収論文のもとになった発表である。発表をほぼそのまま論文にしているので、該当する論文の要約を参照していただきたい。
「アーサー王の"妖精の国"における旧イスラム教徒の活躍 ―『ブイヨンの庶子』における至高の騎士ユオン・ドドゥカン―」
国際アーサー王学会日本支部(於 日本女子大学)   2006年12月1日   
イスラム君主ユオン・ドドゥカンは、13世紀成立の5篇のフランス語叙事詩で、改宗し、さらには最強のキリスト教戦士に変身した後、14世紀の『ブイヨンの庶子』に挿入されたアーサー王物語のパロディーにおいて、アーサーに比肩する「至高の騎士」として描かれる。改宗者による十字軍の完遂というユートピアを描くこの挿話に、十字軍が実現すべきものではなく夢想するものになった時代のメンタリティーを読み取った。