2019年4月 - 2021年3月
赤色進化系統におけるプロトン駆動力により制御される光捕集適応機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
集光性色素タンパク質(LHC)は、光エネルギーを捕集し、光化学系タンパク質(PSI、PSII)へと伝達する重要な役割を担う。LHCは光合成生物種間で多様であり、タンパク質構造の違いに加え、色素分子の種類や数の違いも見出されている。このようなLHCの広い多様性は、光合成生物の見た目の色の違いをもたらす。色の違いにより、励起エネルギー伝達機構も異なることが知られている。励起エネルギー伝達は様々な摂動により変化し、中でもpHによる変化は、色素分子周辺の構造変化が要因となり、色素間相互作用の変化よって生じると考えられている。光合成生物は光が強いと感じると、光阻害が起こる。光阻害が進行することによりチラコイド膜のルーメン側が酸性化される。このように生体内でもpH変化は容易に起こるため、pH変化による励起エネルギー伝達機構の理解は光防御機構を知る上でも重要な位置づけにある。本研究は褐色を呈する珪藻を材料とし、珪藻の特殊なLHCであるフコキサンチンクロロフィルタンパク質(FCP)のpH変化による励起エネルギー伝達機構の解明を目指す。
珪藻のPSI-FCPI超複合体を用いて、pH5.0, 6.5, 8.0のそれぞれに順応させ、時間分解蛍光分光測定を行った。pH5.0において蛍光の減衰が促進された。さらに、pH変化により励起エネルギー移動経路の変化も観測された。酸性pHによって誘導されるエネルギー移動経路およびエネルギー消光の変化は、色素分子周辺のタンパク質構造変化に起因するのだろう。これらの結果を論文として纏めた。
珪藻のPSI-FCPI超複合体を用いて、pH5.0, 6.5, 8.0のそれぞれに順応させ、時間分解蛍光分光測定を行った。pH5.0において蛍光の減衰が促進された。さらに、pH変化により励起エネルギー移動経路の変化も観測された。酸性pHによって誘導されるエネルギー移動経路およびエネルギー消光の変化は、色素分子周辺のタンパク質構造変化に起因するのだろう。これらの結果を論文として纏めた。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H04726