基本情報

所属
沼津工業高等専門学校 制御情報工学科 教授
学位
博士(工学)(九州工業大学)

J-GLOBAL ID
201201064520090357
researchmap会員ID
7000002648

視覚や聴覚など、感覚情報が脳内でどのように表現されているかという問題について研究をおこなってきた。サルやネコの第一次視覚野(V1野)の細胞は視野空間上に提示されたスリット光刺激の傾き(方位)に選択性があり、方位特性に基づいて細胞が規則正しく配列した構造が存在している。こうした、方位マップと呼ばれる構造は、生後発達期における視覚経験に依存して改編されることが知られている。これまでに、Hebb学習に基づいた神経学習モデルを構築し、細胞の応答特性である受容野や方位マップ、眼優位性マップなどの機能構造を再現してきた。生後発達期に特定方位の視覚刺激のみを与えて育てると、経験した方位に応答する細胞が優位に増加する方位の過剰表現が起こるが、こうした方位マップの改編が起こるメカニズムや視覚経験による影響が起こらなくなる臨界期のメカニズムを理論的に説明してきた。
げっ歯類動物の視覚野には、サルやネコに見られるような規則的な方位マップの構造は存在せず、salt & pepperと呼ばれる不規則な構造となっていることが知られている。こうしたげっ歯類動物に特徴的な構造が形成されるメカニズムを説明してきた。さらに、規則的な方位マップとsalt & pepperと呼ばれる構造とで外界情報の表現や機能的な違いを調べるために、神経ダイナミクスの数理モデルを適用して、視覚刺激に対する細胞の応答特性について研究してきた。
大脳の聴覚野には、音声信号の周波数に基づいて細胞が並んだトノトピック・マップと呼ばれる構造が存在している。連続した音声に周期的な無音ギャップを挿入すると途切れた音声を知覚するが、このギャップに帯域ノイズを挿入すると連続した音声が知覚される。これは、連続聴効果と呼ばれる錯聴現象である。聴覚野の構造を数理モデルで再現し、錯聴現象を誘導する神経活動について研究してきた。その結果、ノイズ入力によって誘発される強い神経活動が、興奮性と抑制性の皮質内相互作用によって、背景音声と同程度レベルにまで抑圧されるゲインコントロール作用が連続音の知覚に重要なことが予測された。

論文

  20

MISC

  6

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  14

共同研究・競争的資金等の研究課題

  6