共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年7月 - 2022年3月

根圏生態系の季節変動から紐解く二毛作体系の生物学的な持続性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19KT0011
体系的課題番号
JP19KT0011
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
18,590,000円
(直接経費)
14,300,000円
(間接経費)
4,290,000円

植物の生育は植物の遺伝背景や環境要因等の相互作用の結果として捉えることができる。根圏微生物叢は植物の生育に多大な影響を与えており、逆に、植物の遺伝的背景や環境要因にも規定され、相互作用すると考えられる。本研究の目的は、圃場環境において微生物叢を含むあらゆるパラメータをデータ化し、それらの要因間のネットワークを可視化し,農業生態系としての季節変動動態を理解することである。
研究所実験圃場の慣行区と無施肥区において、アルミニウムに対する感受性の異なるイネとオオムギの品種対を対象に、隔週で各条件3植物個体ずつ(イネは6個体)サンプリングした。環境要因として、フィールドサーバーを用いて日照、降雨、温度、湿度、風向、風速を測定した。土壌環境データとして根圏土壌を採取し、ICP-MSによる水抽出可能な元素の組成を測定し、土壌センサを用いて土壌pHを測定した。さらに土壌の根圏微生物DNAを精製し、16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンスを行った。
施肥の有無によりイオン等の動態は変化し、pHは慣行区で低く、カリウム、リンは慣行区で高濃度であるが早い時期に消費された。慣行区の硫黄、無施肥区のマグネシウム、マンガン、銅が落水により増加した。同じく落水によると考えられるヒ素の増加、カドミウムの低下が無施肥区で見られた。
微生物叢は、イネではMassilia属、Pseudomonadaceae、Oxalobacteraceaeがstar1で多い傾向が見られた。オオムギでは根圏土壌と根のサンプルで相違が見られ、根のサンプルにのみJanthinobacterium, Methylibium属細菌が多く存在することが分かった。これらはオオムギ根のエンドファイトであると考えられ、そのオオムギに対する共生機構や成長への影響に興味が持たれる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19KT0011
ID情報
  • 課題番号 : 19KT0011
  • 体系的課題番号 : JP19KT0011