共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

巨大津波後の長期的地形変化を考慮した沿岸防災機能強化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01631
体系的課題番号
JP17H01631
配分額
(総額)
41,990,000円
(直接経費)
32,300,000円
(間接経費)
9,690,000円

スリランカでは,昨年度の予備調査の結果を踏まえ東海岸のキンニヤ市の沿岸湖沼に対象を絞り,最長10m程度のコアを複数本取得した.採取コアはモルツア大学のラボに運搬、試料処理,X線撮影、写真撮影の後、堆積構造の観察と記載を行った.
タイでは,ドローンで撮影した写真からオルソ画像を作成し、地形の変化を評価するデータ収集を行った.また,長期のタイムスケールでの地形変化をとらえるため,パカラン岬における堆積物の炭素同位体年代測定を実施した.さらに,タイ・プラトーン島における2004年スマトラ沖地震津波に津波土砂移動計算を適用して,海浜地形変化の衛星画像や陸上津波堆積物の調査データをもとに数値モデルを検証した.その結果,海浜漂砂系からの土砂流出は少なく,海浜の早期回復に繋がっていたことが示唆された.
日本では,三陸地方沿岸を踏査し,2011年の津波により打ち上げられた巨礫群の分布調査した.そして,津波による巨礫移動の有無及びその地点周辺の浸水深を整理することにより,どの程度の浸水深によりある重量の巨礫が移動を開始するのかを推定した.また,宮城県石巻市の追波湾を対象に,特に陸域の地形変化に着目して津波土砂移動解析を行い地形変化の過程を検討し,仙台湾や三陸沿岸の他地域とも比較を行った.解析・比較の結果から,追波湾では津波の高さ・周期が他のいずれの地域よりも大きかったことが,大規模な地形変化を生じた原因であることが明らかになった.さらに,津波土砂移動での流れにおける強い非定常性とカルマン数の低減効果を考慮して,津波土砂移動モデルにおける飽和浮遊砂濃度式の改善を図った.そして,2011年東北津波による気仙沼湾地形変化イベントで提案モデルの有用性を確認した.上記の現地調査や数値計算以外にも,津波によるマングローブ林の減災効果を調べるため,3D模型を用いた予察的な水理実験を行った.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01631
ID情報
  • 課題番号 : 17H01631
  • 体系的課題番号 : JP17H01631