蛋白漏出性胃腸症を伴った,十二指腸に嵌頓した巨大な胃脂肪腫に対し腹腔鏡補助下切除術を施行し,低蛋白血症の改善を得た症例を報告する.症例は34歳の男性で,平成14年に吐血,上腹部痛あり,内視鏡検査にて潰瘍を伴った胃前庭部の粘膜下腫瘍を認めた.内服加療にて症状軽快し,以降放置されていた.平成16年12月,上腹部痛,腹部膨満感あり,内視鏡にて胃腫瘍の増大,十二指腸嵌頓を認めた.胃内への還納は不能であった.CT|MRIにて質的診断は脂肪腫であった.また,著明な低蛋白血症およびα1アンチトリプシンクリアランス高値を認め,蛋白漏出シンチグラフィにては腫瘍よりの蛋白漏出像を認めた.蛋白漏出性胃腸症を伴った十二指腸に嵌頓した胃脂肪腫の診断にて,腹腔鏡補助下切除術を施行した.腫瘍は65×45×35 mm大で胃前庭部に広い基部を有し,病理診断は脂肪腫であった.術後経過良好で,術後1ヵ月には低蛋白血症,便中α1アンチトリプシン排出の改善も得た.(著者抄録)