共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

肝動脈塞栓術後のガン微小環境におけるマクロファージ極性制御に基づく新規治療戦略

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
20K08133
体系的課題番号
JP20K08133
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

luciferase遺伝子導入N1S1ラット肝癌細胞を用いて同種移植肝癌モデルを作成した。腫瘍移植後7日目に頸動脈より細経のマイクロカテーテルを挿入し、肝動脈を選択し、破砕したゼラチン物質にて腫瘍動脈の塞栓術を行った。さらに1週間後にIVISにて腫瘍壊死および残存組織の発光をIVISにて確認した。その後、Sacrificeを行 い、肝癌移植・辺縁部をまとめて摘出し、組織切片を作成、免疫染色を行った。CD68およびCD206抗体による免疫染色にて、M1型の炎症性マクロファージとTGF- β1産生細胞が集積する腫瘍関連マクロファージの多寡を評価した。動脈塞栓群では、CD206陽性の腫瘍関連マクロファージ(=TAM)の割合(CD206/CD68)が有意に増加し、Lenvatinib投与群では有意に減少していた。また、PPFEよりmRNA抽出を行い、microarrayによる網羅的遺伝子解析を行った。TAE群ではTAMに関与する遺伝子群の発現が増加傾向にあり、これらはLenvatinib併用群では減少する傾向にあった。TAEにより生じた腫瘍免疫微小環境のTAM増加に向かう変化がLenvatinibにより修正されうる可能性が示唆された。ついでラット脛骨より骨髄細胞を採取し、M-CSF投与によりマクロファージへと分化させた。同骨髄由来マクロファージとN1S1細胞を用いてマクロファージ極性変化を評価した。Lenvatinibとマクロファージのみに投与しても極性変化は見られなかったが、N1S1のConditioned mediumを加えるとマクロファージ極性変化が生じ、Lenvatinib投与により改善が見られた。よって、Lenvatinibはマクロファージに作用するのではなく、腫瘍細胞に作用し、その結果、腫瘍より放出されるサイトカインによりマクロファージ極性変化が生じることが予想される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08133
ID情報
  • 課題番号 : 20K08133
  • 体系的課題番号 : JP20K08133