共同研究・競争的資金等の研究課題

2011年4月 - 2012年12月

堆積物コア解析と高密度放射性炭素年代測定値に基づく沖積平野における古地震学的研究

文部科学省  科学研究費補助金  特別研究員奨励費

課題番号
11J00985
体系的課題番号
JP11J00985
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

浅海堆積物の解析から,濃尾平野西部で過去6000年間に5回地震沈降が発生していること,およびそれらが養老断層系の活動に起因する可能性が高いことを指摘し,地震沈降に着目することで既存の古地震履歴の見解を補強できたことを示した.この研究成果がアメリカ地震学会誌に掲載された(Niwaほか,BSSA).これらの古地震学的な研究成果に加え,濃尾平野で行われている地形や沖積層に関する既存の研究成果もまとめ,アメリカの2つの出版社の書籍に各1章分担執筆した(Niwa and Sugai, Geologic Epoch ; Holocene).また,濃尾平野の6地点のコアデータから復元した相対的海水準変動の空間的な差異から,濃尾傾動運動が完新世にも引き続いていることを指摘した成果を日本地球惑星科学連合2012年大会で報告した.さらに,桑名断層近傍の浅海堆積物の記載・化学分析・^<14>C年代測定を行い,約1700~2800年前に2回強い流れが発生したことを示唆するイベント砂層を検出した.砂層を挟んだEC値の変化や堆積基準面の変位の累積を踏まえ,2回の強い流れのうち1回は桑名断層の活動に起因する津波である可能性を指摘した.この成果は2012年度日本活断層学会秋季大会,および,2012年米国地球物理学連合秋季大会で発表した.
また,既存研究から第一次近似的には塩分の指標と考えられるものの,間隙水量変化による二次的な値の変動の考慮が必要なECについて,間隙水量変化の与える影響を評価した.塩分の時代による変化がほとんどないと考えられる半遠洋性堆積物のうち孔隙率が測定済み試料のECを測定した結果,ECは塩分変化のない環境であれば間隙水量に規定されること,および孔隙率が低くなるほど孔隙率変化に対するEC変化の割合が小さくなることが明らかとなった.間隙水量変化がEC値に及ぼす影響を見積もることによって,堆積相変化から地震性地殻変動を検出することが難しい内湾堆積物から,地震性地殻変動に起因する水深・塩分変化を検出する準備ができた.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11J00985
ID情報
  • 課題番号 : 11J00985
  • 体系的課題番号 : JP11J00985