共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2006年

磁化プラズマ中電子サイクロトロン周波数帯左旋円偏波の伝搬・減衰機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費
  • 高橋 和貴

課題番号
04J03390
体系的課題番号
JP04J03390
配分額
(総額)
2,800,000円
(直接経費)
2,800,000円

前年度まで,不均一磁化プラズマ中で電子サイクロトロン共鳴(ECR)加熱を行った際に,ECR点近傍にダブルレイヤーと呼ばれる非線形電位構造が形成されることを明らかにし,方位角方向モード数m=+1,及びm=-1の電磁波を入射した際には,半径方向中心領域,及び周辺領域にそれぞれダブルレイヤーが形成されることを明らかにしている.本年度は,この電位構造形成機構と電子サイクロトロン波の伝搬機構を体系的に解明するために詳細な実験を行い,以下のことが明らかになった.また,ダブルレイヤー形成時における粒子ダイナミクスを解明するために,オーストラリア国立大学との共同研究を展開した.
1.方位角方向モード数m=±1モードを選択的に入射したところ,径方向偏波方向反転の結果,m=+1ではプラズマ断面の中心領域,m=-1では周辺領域のみで右旋偏波となり,この領域で選択的に波動が吸収されることが明らかになった.
2.上記1の波動吸収領域と,ダブルレイヤーが形成される位置が一致することを明らかにし,右旋偏波の領域のみでダブルレイヤーが形成されることを実験的に明らかにした.
3.上記1の波動伝搬特性は,実験室プラズマ中の境界条件を考慮した波動解析によって明確に説明できることを明らかにした.更に,有限要素法を用いたコンピューターシミュレーションにおいても同様の現象が起こることを明らかにした.
4.ヘリコン波プラズマ中にダブルレイヤーが形成される際の電子エネルギー分布関数(EEDF)計測に関して,海外の研究者と共同研究を展開し,パルスラングミュアプローブ法を用いた計測系の構築を達成した.
5.上記4の計測系を用いてEEDFの計測を行い,ダブルレイヤーが境界条件の一つとして振る舞い,高電位側と低電位側でEEDFが大きく異なることが観測された.高電位側ではEEDFはマクスウェル分布に従わず,ダブルレイヤーの電位障壁に対応するエネルギーにおいてマクスウェル分布からの逸脱が起こることが明らかになった.
以上の結果,磁化プラズマ中電子サイクロトロン波の伝搬機構と,電子サイクロトロン共鳴加熱に伴い形成される電位構造機構を体系的に解明し,マイクロ波入射モードによるプラズマ電位構造制御法を提唱することに成功した.更にヘリコン波プラズマ中ダブルレイヤー形成に関する粒子ダイナミクスに関する共同研究を行い,電子の振る舞いを明らかにした.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-04J03390
ID情報
  • 課題番号 : 04J03390
  • 体系的課題番号 : JP04J03390