1999年12月
3歳児の欲求、感情、信念理解:個人差の特徴と母子相互作用との関連
発達心理学研究
- 巻
- 10
- 号
- 3
- 開始ページ
- 177-188
- 終了ページ
- 188
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11201/jjdp.10.177
- 出版者・発行元
- 日本発達心理学会
3歳児が示す他者の欲求, 感情, 信念理解の個人差について, その特徴と母子相互作用との関連を検討した。51組の母子の相互作用を家庭で観察し, ごっこ遊び場面と本読み場面における内的状態への言及頻度をカウントした。その後, 子どもに欲求, 感情, 信念理解を調べる課題を行った。その結果, 3歳児の他者理解の特徴として, 全体的には感情理解の成績が高く, 信念理解の成績が低いが, どの課題においてもそれぞれ大きな個人差が存在していることが示された。このような他者理解の個人差と関連する柏互作用要因について, 欲求理解では母親の本読み場面での思考状態への言及とごっこ遊び場面での応答的な内的状態への言及との問で, 信念理解については母親の両場面での思考状態への言及, ごっこ遊び場面での応答的な言及, 本読み場面での繰り返し的な言及との問で, それぞれ関連があることが示された。さらに, 子どもの月齢や性別, きょうだい数といった柏互作用以外の要因と他者理解との問にはほとんど関連が見られなかった。このことから, 3歳児の他者理解を促す要因として, 家庭での相互作用, 特に場面に応じた内的状態への言及の重要性が示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11201/jjdp.10.177
- ISSN : 0915-9029
- CiNii Articles ID : 110003162106
- CiNii Books ID : AN10229548