共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

子宮内膜症のポストGWAS解析:クロマチン相互作用を介した転写制御メカニズム解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K08688
体系的課題番号
JP17K08688
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

子宮内膜は深部の基底層と子宮腔に近い機能層に分かれる。機能層は卵巣ホルモンの影響を受けて、増殖・脱落という周期的変化を繰り返す。子宮内膜機能層は月経周期に応じて剥落・増殖を繰り返す、高い再生能を有する組織であり、内膜腺上皮と呼ばれる一層の円柱上皮細胞および腺上皮を支持する間質細胞から構成される。我々は子宮内膜関連疾患の発症機序を考える上で、起源となる内膜機能層腺上皮細胞のゲノム特性を明らかにすることが重要であると考えた。また、腺上皮細胞は管状構造を呈して発達していることに着目し、腺上皮細胞を管単位で分離する実験手法を確立し、単一腺管レベルという最小機能単位でDNAシーケンスを行った。
結果として、子宮内膜から採取した腺管において、PIK3CAやKRASを含むがん遺伝子に体細胞変異が多数検出された。驚くべきことに、各腺管で保有する変異はクローナルな状態に達していたが、腺管ごとに異なる体細胞変異を保有していた。その結果、腺管の集合体である内膜組織はゲノムがモザイク状態を呈していた。さらに、子宮内膜症病変の上皮細胞において、同様の癌関連遺伝子に体細胞変異が認められた。特にKRAS変異における変異頻度が顕著に増加していた。これは、モザイク状ゲノムを呈する子宮内膜が月経血逆流を介して卵巣に生着・増殖する過程で、KRAS変異を有する腺上皮細胞が生存に有利となり、クローナルに増殖した結果、子宮内膜症発症に繋がったことを示唆している(Suda & Nakaoka et al. Cell Reports 2018)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K08688
ID情報
  • 課題番号 : 17K08688
  • 体系的課題番号 : JP17K08688