基本情報

所属
情報・システム研究機構 国立極地研究所 国際北極環境研究センター 特任教授、センター長
学位
博士(理学)、1982年3月(東北大学)

J-GLOBAL ID
201401014829905794
researchmap会員ID
7000007180

研究課題と活動状況:
(1)オーロラの微細構造に関する研究: オーロラは、地球磁気圏尾部や内部磁気圏で生起する様々なスケールのプラズマ過程の一部が磁気圏-電離圏結合系を介して極域電離層に集約的に投影・可視化されたものと捉えることができる。したがって、その空間構造や時間変動には、磁気圏内の粒子加速や散乱過程、さらには磁気圏-電離圏結合系の物理を解明する上で本質的に重要な情報を含んでいる。北極および南極域における狭視野オーロライメージャー観測で取得した高解像度のオーロラの動画像解析から、オーロラの微細構造(<1km)の動態を定量的に明らかにする。 (2)メソスケールのオーロラ動態に関する研究: 昭和基地で受信したDMSP衛星(米国の気象衛星)可視画像データを高次処理・編集し、データベースを作成する。特に、オーロラストリーマーなど特徴的なメソスケール構造をもつオーロラ現象に注目し、これらを生成する降下電子のエネルギースペクトルを同定するとともに、昭和基地の全天オーロラ画像との比較解析から、磁気圏尾部の高速プラズマ流(Bursty Bulk Flow)との対応関係に注目して解析を進めている。 (3)EISCAT レーダーによるオーロラおよび電離圏擾乱に関する研究: EISCATレーダーは、オーロラ発光高度のプラズマや電場を高精度に観測できるため、オーロラの微細構造やダイナミクス、電離圏擾乱を研究する上で理想的な観測手法の一つと言える。トロムソおよびロングイヤビンのEISCATサイトにおけるISレーダーと光学観測装置を用いてディフューズオーロラの動態や磁気嵐に伴う大規模な電離圏擾乱現象などの研究を行っている。

極域観測歴:
南極域:第28次南極地域観測隊越冬隊員(1986.11.14-1988.3.27)、第40次南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長(1998.11.14-2000.3.27)、第48次南極地域観測隊隊長兼越冬隊長(2006.11.28-2008.3.27)、第55次南極地域観測隊隊長兼夏隊長(2013.11.22-2014.3.18)
北極域:1982年以降、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド等の観測拠点に、大気球実験、ロケット実験、オーロラ光学観測、EISCATレーダー実験などの目的で多数回出張。

論文

  123

MISC

  78

講演・口頭発表等

  37

共同研究・競争的資金等の研究課題

  17

社会貢献活動

  26

メディア報道

  1

その他

  1
  • 複合系・開放系としての地球磁気圏-電離圏-熱圏結合過程の解明、特に領域間の運動量・エネルギー・物質輸送の観点から南北両極域における観測研究をベースに、理論及びモデリング・シミュレーション研究と緊密な連携を図り、結合系を駆動する物理プロセスの定量的な理解を目指す。そのために必要な北極・南極域における拠点観測設備などの観測基盤整備を積極的に推進する。 ・北極域では、EISCAT/EISCAT3Dレーダーと地上拠点観測、ロケット・衛星共同観測により、特に高い時間・空間分解能による微視的スケールの三次元観測を実現し、磁気圏-電離圏-熱圏結合系モデルの検証と修正を目指した研究を進める。特に、極域上部電離圏は、プラズマキャビティ(オーロラ粒子加速域)と電離圏コールドプラズマの混合領域であり、多くの重要な課題が未解明のまま残されている。このうち、特に ①オーロラ粒子加速域の電場・プラズマ三次元構造とその形成機構 (ミクロ~メソスケールオーロラ構造の起源を探る) ②オーロラ粒子加速におけるAlfven波の寄与(エネルギー、持続時間、周期性) に関する研究を重点的に進めたい。 このためのアプローチとしては、 ①衛星(内部磁気圏、極域低高度)観測と連携した地上観測 (ERG衛星、磁気天頂方向のオーロラ狭視野高解像度観測、ALISによる3Dステレオ観測、EISCATレーダー干渉法による沿磁力線高解像度プラズマ観測など) ②三次元構造を定量的に説明する理論・モデリング・シミュレーション研究 (オーロラ磁力線上の3D-kineticモデルなど) を国内外の研究者との共同研究として推進する。 ・南極域では、アクセスの困難さから観測網の広域展開が容易ではないが、国際協力をベースに、昭和基地SuperDARNレーダーの視野内にあるドームふじ基地、中山基地、南極点基地の全天カメラ・イメージャとの同時観測により、カスプ・極冠域からオーロラ帯にかけて観測されるメソスケール(10km~数100km)のオーロラ現象に伴う磁気圏・電離圏結合過程の空間構造と時間発展の解明を目指す。特にSuperDARNレーダーでは幅広い空間スケールの現象を捉えることができるメリットがあり、オーロラや電離圏擾乱が示すスケール間結合についても観測的に明らかにする。 このためのアプローチとしては、 ①昭和基地SuperDARNレーダーのイメージングレーダー化による高解像度観測の実現 ②ドームふじ基地での無人オーロラ観測と中山基地、南極点基地との連携観測 を第Ⅷ期後半計画として提案しており、これを着実に推進する。