共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

動詞下位範疇化情報の習得要因および習得状況を把握するための語彙テストの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H00542
体系的課題番号
JP21H00542
配分額
(総額)
6,630,000円
(直接経費)
5,100,000円
(間接経費)
1,530,000円

動詞がどのような統語構造を導くかという動詞下位範疇化情報は、文レベルの発話産出に欠かせない知識であり、予測的文処理においても有効な知識である一方、その習得要因や習得状況についての研究は進んでいない。本研究の目的は、①動詞下位範疇化情報の受容的・産出的知識を測るテストを開発し、②習得難易度はどのような要因の影響をうけるのか、③学習者に共通する誤りはどのようなものか、④受容的知識と産出的知識はどのような関係にあるのかを明らかにすることである。
令和3年度は、第一の目的であるテストの開発に着手した。予備調査として、JACET8000のレベル4までの動詞で作成された216のテスト項目のうち一部を使用し、269名の大学生と高校生に対して産出テスト(PTVS)を実施した。この予備調査により、被験者に共通して見られる誤りを見つけ出し、それらを多肢選択式受容テスト(RTVS)の錯乱肢とした。本調査として、4つの大学に所属する104名の大学生に対しPTVSを実施し、1か月以上間隔をあけて同じ参加者にRTVSを課した。ラッシュモデルによる分析をしたところ、PTVSについては被験者の信頼性が.91, 項目の信頼性が.96と高い数値であった。Person-Item Mapからは、-3以下のレベルの被験者に対応する項目が無く、初級者には難しいテストであることが判明した。RTVSは被験者信頼性は.88、項目信頼性は.94であった。Person-Item Mapからは、難易度の高い項目の追加が必要であることが明らかとなった。PTVSとRTVSの被験者相関はr=.88、項目相関はr=.75であった。この調査結果はLanguage Testing Research Colloquium (LTRC) 2022にて発表した。今後216項目すべてについて調査し、モデルに適合する項目を増やす予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H00542
ID情報
  • 課題番号 : 21H00542
  • 体系的課題番号 : JP21H00542