2022年3月11日
中国の北極海航路構想
笹川平和財団海洋政策研究所海洋進出ワークショップ
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
- 主催者
- 笹川平和財団海洋政策研究所
- 開催地
- 東京
- 国・地域
- 日本
中国は、21世紀に入る前後から、既に北極海航路に関心を示していた。,その理由は、中国沿岸部とEU(特に西ヨーロッパ地域)とを結ぶ航路開拓に利益を見出しているからである。,北極海航路が実用化されれば、従来の南シナ海、マラッカ海峡、インド洋、スエズ運河を経由する航路と比較して、約25%の距離・時間短縮が可能となる。,また、従来の航路では、チョーク・ポイントが多く、その安全性は、沿岸地域の安定によっては、著しく損なわれるリスクが存在する。,中国の対外貿易相手の第2位であるEU地域との経済交流のバイパスとして、中国は、北極海航路の実用化に努力を指向していると評価できる。,ただし、日本の各海峡、ベーリング海峡というチョーク・ポイントにおける日本、ロシア、米国との安定的関係が不可欠であるという制約は課せられることになる。とりわけ、北極海航路の大部分の航程は、ロシア沿岸沖海域を通過することになるので、ロシアとの安定的関係は、特に重要となる。,そのような視点でも、今日における中国のロシアを刺激しないよう留意する外交姿勢を見る必要がある。