2022年2月7日
中国による海洋進出の淵源
笹川平和財団海洋政策研究所 海洋進出ワークショップ
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
- 主催者
- 笹川平和財団海洋政策研究所
- 開催地
- 東京
- 国・地域
- 日本
中国による海洋進出の淵源は、伝統的な天下観念を根源としている。とりわけ、天下は統一されねばならないという命題は、政治体制に関わらず、今日でも堅持されている。それを象徴するのが台湾問題である。,同時に、台湾を平和裏に統一するには、経済的発展を基軸とする富裕が必須となる。また、富裕を保護するためには、信頼できる軍事力が必要となる。,他方、台湾統一を軍事力をもってでも阻止しようとする米国は、当然のことながら、中国にとって最大の脅威となる。また、その米国によって、中国の経済発展維持を脅かされる懸念も中国は抱いている。,台湾統一、或いは、中国の発展を抑制しようとする米国が軍事力を中国に対して指向することを考えれば、米国による進攻の主力は海軍力となり、その海軍の進攻を防ぐために、中国も海軍を拡充することになる。,他方、南シナ海と東シナ海における島嶼領有紛争に関しては、全てが、中華民国が発端を作り、彼らは、その権利主張を全く後退させていない。,これは、中華天下の再統一を命題とする近代中国革命の1つの担い手である中国にとり、それは正統性に関わる問題である。,それゆえ、中国の海洋進出における理不尽で非合理的主張は、中華民国との関係から導かれている側面を指摘できる。,以上のことから、中国の海洋進出に関する視座は、中華民国との関係を並行して観察する必要がある。