共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年4月 - 2012年3月

他者の行為理解の発達プロセス及びそのメカニズムの解明:知覚と行為の関連から

日本学術振興会  科学研究費補助金 (特別研究員奨励費 (DC2) )  特別研究員奨励費

課題番号
10J05920
体系的課題番号
JP10J05920
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本研究の目的は,他者の行為理解の個体発生的起源に関する証拠と,その機能やメカニズムを実証的に検討することにある。申請者はこれまでの研究によって,ミラーニューロンシステムのダイレクトマッチング仮説の観点から,乳児期初期において他者の行為理解(行為の目標予測)と乳児自身の運動能力の発達的対応を示した。このテーマに関連した研究成果は,すでに国内外の学会で発表され,すでに国際誌に刊行されている(Kanakogi & Itakura, 2010; 2011)。
また,ダイレクトマッチングによる他者の行為理解の感情的な側面として位置づけられる同情や共感という現象に関して,その個体発生的な起源を検証する実験を行った。その結果,生後幼い時期でも他者に対する同情的態度を示すという結果が得られた。この研究成果も,すでに国内外の学会で発表され,国際誌に投稿中である(Knakogi, Okumura, Inoue, Kitazaki, & Itakura, submitted)。
これらの2つの研究の意義は,他者の行為理解の個体発生的な証拠を,自己と他者の関連性から実証的に行った点にある。これらの研究は,当該分野において独創的であり,その分野において非常に重要な研究に位置づけられることが予想される。
また,成人を対象に,無生物の行為理解にかかわる神経基盤を検証するfMRI実験を行った。その結果,生物性の認知にかかわる領域(メンタライジング領域)が,ミラーニューロンシステムの活動を誘発するという仮説通りの結果は得られなかったが,無生物の社会的相互作用を観察している際に,生物性の認知にかかわる領域(メンタライジング領域)が活動し,その脳活動がのちの無生物に対する向社会的行動を予測することが明らかにされた。現在,この研究成果を国際誌に投稿すべく,英語論文を執筆している(Kanakogi et al., in prep)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J05920
ID情報
  • 課題番号 : 10J05920
  • 体系的課題番号 : JP10J05920

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