共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

シングルドメインソフトマターが拓く新構造と物性に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01034
体系的課題番号
JP17H01034
配分額
(総額)
43,940,000円
(直接経費)
33,800,000円
(間接経費)
10,140,000円

本研究は、過去に研究代表者らが見出した、世界的にも、歴史的にも類を見ない、新たな性質を示すシングルドメインソフトマターの構造、相挙動、粘弾性、力学特性の解明からスタートし、その展開(課題1)、発展研究(課題2)、およびその融合研究を通じ、ソフトマターの基礎科学に新たなフロンティアを築くことを目的とする。課題1では、自発的シングルドメイン化をもたらす構造要素とメカニズム、さらにそこに潜む物理化学を探求し、シングルドメインソフトマターを形成する分子ライブラリを構築する。課題2では、世界で初めて音波浮遊技術をソフトマターに適用し、シングルドメイン化を可能にする「分子自己集合場」を設計する。上記の課題から得られる物質の構造物性相関を多角的に調べ、シングルドメインを形成するソフトマターの合理的設計指針を提示するとともに、分子配向・配列秩序が「完璧」に制御された物質が生み出す機能を探る。
平成30年度において、課題1では、分子凝縮相に関する既存概念では説明しえない性質を示す分子集合体の構造と相挙動および分子集団運動について詳細に検討した。この分子集合体は、液体からの冷却により、あたかも液滴のようなバルク形状を示す。しかし、この液滴は、高度な三次元構造規則性を有する分子集合体であり、しかも単結晶様のシングルドメイン構造をとる。さらに、見かけ上は三次元構造規則性を保持したまま流動するという特異な性質を示す。この振る舞いは結晶とも液体とも液晶とも異なる。これらの成果をまとめてNature Mat.誌で論文発表した。課題2では、空気界面だけの状態で分子集合体を構造化させるために、音波浮遊装置を中心とした試料作製装置一式と構造解析用のX線回折装置を整備し、棒状および円盤状液晶の構造形成挙動の検討を行った。その結果、ミリメートルオーダーのシングルドメイン構造を有する球体が作製できることを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01034
ID情報
  • 課題番号 : 17H01034
  • 体系的課題番号 : JP17H01034