共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

海事債権の実現方法に関する比較法的研究―船舶先取特権制度の再検討を中心として

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K01372
体系的課題番号
JP19K01372
配分額
(総額)
3,380,000円
(直接経費)
2,600,000円
(間接経費)
780,000円

本研究は,船舶の運航に伴って生じる様々な債権の実現のために利用される日本法上の諸制度,特に,実務上よく利用される船舶先取特権制度について,主要国の同様の機能を有する制度と比較検討し,機能面に着目して分析しようとするものである.
初年度にあたる2019年度は,研究環境の整備,文献の収集・分析,研究会等への参加による情報収集を進めた.イングランド法に関しては,船舶のアレストに関する文献の分析に加え,これに関連しうるその他の諸制度の検討も行った.また,研究会等への参加を通じて,近隣国における海事倒産法制や,海事裁判所ないし裁判所への海事専門部の設置に関する動向等も知ることができた.当初は,初年度中に,イングランドの対物訴訟制度等と日本法の関連する諸制度との対比・分析を完了する予定であったが,社会情勢の変化に伴い,分析対象の切り取り方と考察を見直す必要が生じたため,成果としての取りまとめは遅れている.
以上の核心的な部分の検討に加え,船舶ファイナンスの重要な一要素となっている定期傭船契約について,わが国の判例を検討する機会を得たので,イングランド法と対比しつつ検討を行った.2019年度の成果としては,準拠法決定に係る部分に絞って検討した判例評釈を1件公表した.定期傭船契約はイングランド法の影響を強く受けた契約書式が国内取引においても広く利用されている領域であるが,イングランド法と日本法では,燃料油の所有権やその代金債権の担保のあり方についての考え方は相当に異なっており,この点は本研究の核心的な部分と強く関連する.このため,定期傭船契約に関する日本法の現状整理は,本研究課題の成果の一部としてとりまとめることを考えている.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K01372
ID情報
  • 課題番号 : 19K01372
  • 体系的課題番号 : JP19K01372

この研究課題の成果一覧

論文

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MISC

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講演・口頭発表等

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