2018年4月 - 2021年3月
海運業における技術革新と海事法の新たな課題: 自律航行船・極域航行の研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
自律航行船等による運航、極域航行の各々について下記の検討を行った。
(a)自律航行船等による運航 前年度の検討に引き続き、既存の海事法制に含まれるルール(特に国際条約及びそれに基づく基準等を中心に)のうち、船舶の航行が船員による操船を前提としなくなることで直接影響を受けるものにつきどのような内容の手当てがあり得るかを検討した。その際に、(i)公法的規律(たとえば船舶の安全性をめぐる公法的規制及び海上衝突予防規則(COLREGS)の適用)と、(ii)私法的規律(船舶衝突条約上の過失の扱い、油濁損害における民事責任条約の責任集中の適用のあり方、堪航能力担保義務の内容、船主責任制限制度の適用等)とに分けて検討を進めた。条文適用上の問題点に関してはほぼ結論が出たものの、政策的な問題(遠隔操作者にどこまで責任を負わせるか)については、さらに検討すべき課題が少なくないことが分かった。
(b)極域航行 前年度の検討により明らかになった、現在の極域航行の実態や将来の見込みを前提として、既存の海事法制に含まれるルールにつき、国際条約及びそれに基づく基準等を中心に網羅的に調査し、商業航海による海洋汚染事故についての民事責任、衝突事故を防止するための航法、極域固有の堪航能力担保義務の内容、極海域へのクルーズ船の増加に伴う法律問題等について、北極海独自の規律(立法及び解釈・運用を含む)を導入する必要があるか 、仮に必要だとするとどのような内容のものとすることが望ましいかを明らかにした。個別のルールの検討については、かなり深度のある検討ができたが、海事法の基礎理論へのフィードバックが今後の課題として残ることが分かった。
(a)自律航行船等による運航 前年度の検討に引き続き、既存の海事法制に含まれるルール(特に国際条約及びそれに基づく基準等を中心に)のうち、船舶の航行が船員による操船を前提としなくなることで直接影響を受けるものにつきどのような内容の手当てがあり得るかを検討した。その際に、(i)公法的規律(たとえば船舶の安全性をめぐる公法的規制及び海上衝突予防規則(COLREGS)の適用)と、(ii)私法的規律(船舶衝突条約上の過失の扱い、油濁損害における民事責任条約の責任集中の適用のあり方、堪航能力担保義務の内容、船主責任制限制度の適用等)とに分けて検討を進めた。条文適用上の問題点に関してはほぼ結論が出たものの、政策的な問題(遠隔操作者にどこまで責任を負わせるか)については、さらに検討すべき課題が少なくないことが分かった。
(b)極域航行 前年度の検討により明らかになった、現在の極域航行の実態や将来の見込みを前提として、既存の海事法制に含まれるルールにつき、国際条約及びそれに基づく基準等を中心に網羅的に調査し、商業航海による海洋汚染事故についての民事責任、衝突事故を防止するための航法、極域固有の堪航能力担保義務の内容、極海域へのクルーズ船の増加に伴う法律問題等について、北極海独自の規律(立法及び解釈・運用を含む)を導入する必要があるか 、仮に必要だとするとどのような内容のものとすることが望ましいかを明らかにした。個別のルールの検討については、かなり深度のある検討ができたが、海事法の基礎理論へのフィードバックが今後の課題として残ることが分かった。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H00805
- 体系的課題番号 : JP18H00805
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
海法会誌 = The report of the Japanese Maritime Law Association (65) 117-165 2022年3月 招待有り
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国際法外交雑誌 = The Journal of international law and diplomacy 119(3) 362-385 2020年11月 招待有り
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海法会誌 = The report of the Japanese Maritime Law Association (63) 26-33 2020年3月 招待有り
MISC
1-
海法会誌 = The report of the Japanese Maritime Law Association (63) 34-43 2020年3月 招待有り
講演・口頭発表等
1-
国際法学会第2019年度(122年次)研究大会 2019年9月3日 招待有り