論文

2014年

降水セル追跡手法と粒子判別手法を用いた降水セルの発生初期及び成長期における特徴解析

水文・水資源学会研究発表会要旨集
  • 増田 有俊
  • ,
  • 中北 英一

27
開始ページ
100038
終了ページ
100038
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11520/jshwr.27.0_100038
出版者・発行元
水文・水資源学会

本研究では、降水セルの発生初期から成長期に着目し、筆者らが開発した「降水セルの追跡手法」と「粒子判別手法」を組み合せることで、降水セル内における各降水粒子の存在状況や発達する降水セルの特徴に関する解析を行った。解析には、局地的豪雨の現況監視のために国土交通省が展開しているXバンドMPレーダ(XRAIN)の3次元観測値を用いた。本研究で用いた粒子判別手法の特徴の1つに、雨やあられ、氷晶といった一般的な粒子タイプに加えて、大粒子(Big Drop)が存在する点が挙げられる。大粒子が存在する場所では上昇流の存在が示唆されており、本研究でも成長期の降水セルにおいてセルに占める大粒子の存在割合が大きいことが確認できた。更に、降水セルの発生初期に着目した解析を行った結果、地上に降雨が到達する5分程度前に高度4km付近でファーストエコーが発生しており、この時点で既に大粒子が判別されていることが分かった。強い上昇流域を伴った積乱雲内では、大きな(扁平した)雨滴が上空に運ばれるため、0℃高度よりも上空に大きな正のZdr(Zdrカラム)が観測されることが知られている。本研究でも、地上に強い降雨をもたらした降水セルを対象に、Zdrの高度時間断面を作成したところ、地上に強雨が到達する5~10分前に、1dBを超える大きなZdrが0℃高度よりも上空に存在していることが明らかになった。XRAIN観測値から、降水セルの発生初期(ファーストエコー)や発達する積乱雲の特徴を知ることで、局地的豪雨をもたらす積乱雲の早期探知や30分程度先までの短時間降雨予測精度の高度化に大きく寄与することが期待される。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11520/jshwr.27.0_100038
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005481919
ID情報
  • DOI : 10.11520/jshwr.27.0_100038
  • CiNii Articles ID : 130005481919

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