共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

全能性幹細胞を長期間維持する内的・外的要因の探求

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K07421
体系的課題番号
JP17K07421
配分額
(総額)
4,940,000円
(直接経費)
3,800,000円
(間接経費)
1,140,000円

プラナリアは高い再生能力を持つことで古くから研究対象として注目されていた。近年の研究から、この再生能力は身体中に存在する分化全能性幹細胞である新生細胞に依存していることが明らかとなってきた。脊椎動物などでは、発生初期のごく限られた期間にのみ分化全能性幹細胞は出現し、この細胞に由来するES細胞を成体に移植しても腫瘍化してしまう。一方、プラナリアは成体であっても身体中に新生細胞を維持し、腫瘍化することなく再生過程や組織の恒常性において分化細胞を供給し続けている。本研究では、なぜプラナリアは成体であっても全能性幹細胞を維持し続けられるのか、について、新生細胞を取り巻く外的要因と新生細胞自身の内的要因の両方向からアプローチする。
本研究では哺乳類の腫瘍の転移に関与するMTA1(Metastatic Tumor Antigen 1)のプラナリア相同遺伝子に着目し、機能阻害個体での遺伝子発現の変動を確認した。その結果、細胞接着やギャップジャンクションに関係する遺伝子に変動が見られた。近縁種のデータセットを使用して、シングルセル解析を行ったところ、ギャップジャンクションに関係するINX-Bがコミットメントを受けていない新生細胞で多く発現されていることを示唆することができた。INX-BがMTAの下流で働いている可能性があることから、新生細胞の移動に関して詳細に観察した。その結果、日本産のDugesia japonicaとヨーロッパ産のSchmidtea mediterraneaでは個体内の新生細胞の移動性に違いがあり、細胞の移動にERKシグナルが関与していることを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07421
ID情報
  • 課題番号 : 17K07421
  • 体系的課題番号 : JP17K07421