1997年5月10日
骨盤骨折に合併した下部尿路損傷
日本救急医学会雑誌
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- 巻
- 8
- 号
- 5
- 開始ページ
- 209
- 終了ページ
- 215
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.3893/jjaam.8.209
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本救急医学会
1980年11月1日から1993年12月31日の期間に当センターで経験した骨盤骨折の500症例を対象とした。骨盤骨折500例のうち下部尿路損傷を伴っていたものは18例(3.6%)であった。また,この期間の下部尿路損傷症例は50例であったので,このうちの骨盤骨折を伴った例の発生頻度は36.0%であった。これら18例の内訳は膀胱損傷が8例,尿道損傷が9例,膀胱・尿道損傷が1例であった。膀胱損傷群での受傷原因は交通事故と労働事故が多く,他に転落事故があった。損傷型では腹膜外破裂が多く,腹膜内外破裂が1例でみられた。尿道損傷群の受傷原因はほとんどが交通事故であり,1例のみが労働事故であった。膜様部尿道損傷が9例にみられ,このうちの5例が完全尿道断裂例であった。また,これら下部尿路損傷を伴った例の骨盤骨折はTrun-key分類ではI, III-Bの2型に分かれた。このことから骨盤骨折に伴う下部尿路損傷の発生にはいずれか任意の方向からの大きな外力の作用による場合と,主に前方向からの外力の作用による場合との2つの機序が考えられた。膀胱損傷症例の治療法においては腹膜内破裂を伴う損傷例では直ちに外科的治療が行われ,腹膜外破裂のみの例では尿道留置カテーテルによる保存的治療で良好な結果が得られた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.3893/jjaam.8.209
- ISSN : 0915-924X
- CiNii Articles ID : 10012223123
- CiNii Books ID : AN10284604